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国民1人あたりの借金は約983万円。貯金だけではムダ?将来に備えた資金形成

コラム

貯蓄だけで老後資金をつくるのは難しい

 こんなお先真っ暗な将来に備えて、毎月コツコツと貯金をしている人もいるだろう。しかし、仮に毎月10万円ずつ貯めても、預金金利が0.01%ならば10年後の貯蓄額は1200万5952円。税引前でも、たったの5952円しか増えない。そのうえ、将来に備える資産が預貯金だけだと、先述したインフレが起きたときに、実質的に資産が目減りする可能性も。“年金のプロ”中野氏はこう語る。

問題を解決する方法は、インフレに負けない資産を持つことです。そのためには、『iDeCo』と『つみたてNISA』を利用し、税制優遇メリットを享受しながら、世界中の株式や債券などに分散投資する投資信託で積み立てることがベストな選択肢だと私は考えています」

 なかには「株式や投資信託を持つと資産が減る」と考える人も多いだろう。しかし、「資産が減るのは間違った投資をするからです」とは中野氏の弁。過去20年で米国の家計の金融資産は2.7倍、英国の金融資産は2.3倍に増えていて、どちらも運用リターンによる押し上げ効果が大きく作用しているからだ。

 これに対し、日本の金融資産は1.4倍にしかなっていない。真っ当な投資をすれば資産は増える可能性が高まるし、残念ながら、預貯金だけで老後資金を準備するのが難しいことは確かなのだ。

「iDeCo」と「つみたてNISA」を使わないのはソン

積立投資

※図版は『今すぐできる! iDeCoとつみたてNISA超入門』より

 米国人は運用した結果、豊かになったとはいえ、みんなが投資のプロではない。多くの場合、国が用意した制度で投資信託を積み立てて資産を増やしているのだ。実は、日本にも税制優遇のメリットを享受しながら投資信託を積み立てて資産形成できる制度がある。それが「iDeCo」と「つみたてNISA」だ

 これは、日本と米英両国との家計金融資産に大きな差がついてしまったので両国の制度を参考にして政府がつくったものだ。

「この2つの制度は、資産形成の強い味方になる、素晴らしい制度。にもかかわらず、いまだに制度そのものを知らない人が少なくありません。制度を知っている人でも、口座を開設していない人が多いのです。これは、あまりにももったいない話です」

 例えば、iDeCoやつみたてNISAには、運用益が非課税になるメリットがある。運用で得た利益が100万円あった場合、通常(課税口座で運用した場合)は20.315%の税金が課されるのだが、この制度を使えば金額にして20万円以上も節約することができるのだ

今すぐできる! iDeCoとつみたてNISA超入門

今すぐできる! iDeCoとつみたてNISA超入門

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