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『イカゲーム』のゲームは「カイジ」みたいな頭脳戦じゃないのになぜウケるのか

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どのゲームも面白みのベクトルが違う

イカゲーム

ハロウィンでも人気だったピンクの運営衣装/Netflixシリーズ『イカゲーム』独占配信中

 1話目の「だるまさんがころんだ」は、理不尽さや残酷さを印象付けた。訳もわからず殺されていく人々の姿が、デスゲーム開始の合図には打って付けだった。運営側のピンクの衣装、参加者の緑のジャージ、ゲームを支配する巨大な少女の人形など、作品のアイコンになるビジュアルも多く登場している。ハロウィンのコスプレ市場を賑わせたのは、必然だろう。

「カタヌキ」(3話)は、参加者たちが一生懸命に針でカルメ焼きを削るという画的な地味さと、それなのに少しでも欠けてしまえば殺される緊張感とのギャップが奇妙な空気感を作った。

 主人公ソン・ギフン(イ・ジョンジェ)が見つけた一発逆転の秘策も、いい意味で大したことがなく、一心不乱にカタヌキと向き合う姿がダサくも可愛くもあった。超人的な発想でクリアしても面白いが、ギフンくらいの頭の良さのほうが、デスゲームをよりリアルに感じられて切迫感がある。

僕が一番好きなゲームは…

「綱引き」(4話)は、キャラクターが捻り出したアイデアの面白さも去ることながら、「プレイヤーが直接相手を殺す」という重苦しい現実を叩きつけられた。チーム戦というところも目新しく、そこで生まれた絆が後々の展開に作用していく。

「ビー玉遊び」(6話)は中盤のカナメだ。序盤に描かれたキャラクターの心理部分の変化が描かれ、物語全体に厚みを作った。底なしに良いやつだったギフンの黒い一面が溢れた瞬間も、後の展開に意味を持たせている。

 僕が一番好きなのは、「飛び石ゲーム」(7話)だ。立場によって戦い方の変わるゲーム性は終盤にふさわしく、それぞれキャラクターに沿った戦い方を見せてくれた。「こいつ、この状況どうすんの?」が楽しかった。どのゲームも面白みのベクトルが違うのだ。

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