コロナ禍で大学サークルが存続の危機に。飲み会、合宿も禁止で加入者激減
「オンラインでは帰属意識が芽生えない」
とにもかくにも、サークルの未来は当の学生たちに命運がかかっている。出版サークル1年生の香菜さん(仮名・早稲田大)は、この状況を冷静に見ていた。
「サークル文化がなくなると言っているのはコロナ前を知っている人たち。私は知らないし、コロナでも大学生活を謳歌しようと工夫しているのに大人が水を差すのはいかがなものか。文化とはその時代を生きている人がつくっていくものだと思う」
横で話を聞いていた演劇サークル4年生の早紀さん(仮名・早稲田大)は、複雑そうにこう語った。
「オンラインでもできる活動はあるけど、たまり場に集まって仲を深めるなどの関係づくりの慣習が伝わらず、帰属意識が芽生えない。やりたいことをやって満足して、技術を習得できたら用なし。まるでカルチャースクールのよう。それは新入生には見えない問題でとてももどかしいです」
大学サークルは消滅するのか。それとも変革のときなのか。
<取材・文・撮影/桜井カズキ 茂木響平 するめいか子 ツマミ具依>
【石渡嶺司】
大学ジャーナリスト。東洋大学社会学部卒。大学教育や就職・キャリアなどを題材に発信。無償で就活生のEC添削を年300人実施。近著『就活のワナ』(講談社+α新書)
【オバタカズユキ】
ライター・編集者。上智大学卒業後、社会時評、書評、取材レポートなど幅広く活躍。大学文化にも詳しく、23年間監修を務めるシリーズの最新刊『大学図鑑!2022』(ダイヤモンド社)も発売中