悲惨な業績の旅行業界。星野リゾートは利益半減でも明るい兆し
ロイヤルホスト運営会社も悲鳴をあげる
「ロイヤルホスト」を運営するロイヤルホールディングスは、2020年12月期に192億6900万円の営業損失を計上しました。
ロイヤルは「リッチモンドホテル」を全国展開しており、ホテル事業の損失額は69億9600万円。ファミリーレストランなどの外食事業の損失額は38億1300万円でした。2019年はホテル事業が外食事業よりも稼いでいましたが、コロナでそれが逆転したのです。今やホテル事業はロイヤルの重荷になっています。
これと全く同じ構図なのが、結婚式場「椿山荘」を運営する藤田観光。この会社は「ワシントンホテル」も運営しています。2020年12月期に145億6800万円の営業損失を計上しました。このとき、婚礼事業は47億1600万円の損失に留まった一方、ホテル事業は136億6900万円もの損失となりました。
星野リゾート「界」の客室売上が2019年を上回る
ただし、旅行・宿泊ともに暗いニュースばかりではありません。需要回復の兆しも見えてきました。
全国の星野リゾートの物件を所有する星野リゾート・リートの2020年11月-2021年4月の営業収益は前期比23.8%減の45億9100万円、純利益は同48.6%減の14億6600万円となりました。十分に回復しているとは言い難いですが、一部のブランドで吉兆が見えてきました。星野リゾートが全国に展開する中・高価格帯の旅館「界」です。
「界」は緊急事態宣言に入った2021年2月、3月のRevPAR(1日の販売可能客室数あたり客室売上)が2019年の水準を上回りました。
星野リゾートは新型コロナウイルス感染拡大以降、「マイクロツーリズム」を推進していました。これは小さな旅行を楽しむもので、1時間から2時間で行ける距離の観光地を再発見するというものです。その趣旨に則り、地方の生産者などと手を組んで旅行者を取り込む企画を多数立ち上げました。それが奏功したものと考えられます。