悲惨な業績の旅行業界。星野リゾートは利益半減でも明るい兆し
エイチ・アイ・エスは本社ビル売却
大手企業も立ち上がっているのがやっとと言える状態です。エイチ・アイ・エスの2021年10月期第3四半期の売上高は前期比77.4%減の907億3800万円、332億1700万円の純損失(前年同期は166億7300万円の純損失)を計上しました。売上高はコロナ前の2019年3月期第3四半期と比較して84.2%も減少しています。5700億円あった売上高が900億円にまで縮小してしまいました。
また同社は2020年6月に本社を虎ノ門に移転しましたが、この移転からわずか1年で、本社ビルを三井住友ファイナンシャルグループに325億円で売却しています。
KNT-CTホールディングス(近畿日本ツーリスト)も厳しい状況は同じです。2021年3月期の売上高は前期比77.2%減の878億8900万円、284億5600万円の純損失(前年同期は74億4300万円の純損失)を計上しました。
2021年3月末時点で96億5400万円の債務超過に転落。2023年3月末までに債務超過を解消できない場合、上場廃止となります。近畿日本ツーリストは立て直しを図るため、2021年1月に希望退職の募集をかけました。応募人員は1376名。目先の財務体質改善を急いでいます。
旅行会社は保有する資産の処分やリストラ、増資などによって資本性のある資金を調達し、コロナ禍が過ぎ去るのを粘り強く待つほかありません。
建設ラッシュに沸いていたホテルも大打撃
ホテルや旅館などの宿泊業界も苦境が続いています。観光庁の「宿泊旅行統計調査」によると、2021年1月のホテルや旅館などの客室稼働率は23.7%となりました。リゾートホテルや旅館は特に厳しく、リゾートホテルが15.0%、旅館が12.7%となっています。
「浅草ビューホテル」や「那須高原ホテルビューパレス」、「伊良湖ビューホテル」など、観光ホテルがメインの日本ビューホテルの2020年4月期の売上高は前期比70.3%減の45億1600万円、57億6400万円の純損失(前年同期は17億2000万円の純損失)を計上しました。ホテルは家賃や人件費などの固定費が重く、客離れを起こすと赤字幅が拡大しやすい事業です。