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なぜ給与は安いまま?働く人を貧しくする日本に専門家が警鐘

ビジネス

“過剰なグローバル化”って何?

「資本金10億円以上の日本企業の配当金、経常利益、売上高、給与、設備投資を見てみてください。1997年を100とした場合、給与や設備投資は微減、売上高は横ばいなのに対して、経常利益は3倍、配当に至っては6倍以上になっています。

 人件費や設備投資を削って株価を釣り上げ、経常利益を釣り上げて配当金を増やしている実態が読み取れます。これに拍車をかけている四半期決算は、短期主義経営を助長することからヨーロッパ諸国ではすでに義務ではなくなっています。端的に言って、義務的四半期決算は異常な制度であり、早急に日本でも見直さなければいけません

 そして、“過剰なグローバル化”に関しては、「グローバル競争とはすなわち価格競争であり、それは裏を返せばコスト競争です。コストの大きな部分を占めるのが人件費と法令遵守費用であり、これが、人件費が安く規制も少ない低開発国での生産の誘因となっています。

 このコスト競争はグローバルな競争ですから先進国内に波及し、「底辺への競争」と呼ばれる人件費の引下げにもつながっています。加えて株主資本主義ですから、グローバル化が進んだことで、この傾向は一層強くなっています。移民労働者の活用はそののひとつの現れです」と現状を解説した。

グローバル化をうたう政治家は要注意

 最後に“株主資本主義”と“過剰なグローバル化”を脱するためには政権交代しかないのか聞くと、「自民党の中でも、現状の問題点を認識している議員はいます。反対に立憲民主党の中にも、これが分かっていない議員はいます」と答える。

選挙

「結局、我々国民が『どの候補者なら日本を良くしてくれるのか』ということを見極めるしかありません。2021年秋には衆議院選挙がありますが、それまでに各政党・各候補者の主張が適切なのかどうかを、判断するための知識を備えておかなければいけません

 とはいえ、書籍やインターネットには無数の情報が転がっているため、見極めることは大変難しい。まずは今回話した『これからはジョブ型だ!』『このままでは日本はグローバル競争に勝てない!』といった人件費削減を正当化する政治家や識者に対しては、疑ってかかることから始めてみると良いのではないでしょうか」

 日本の労働市場のいびつな実態がわかっただろうか。“株主資本主義”と“過剰なグローバル化”を改め、安定した雇用、適切な賃金を実現するために、他人ごとにはせずに衆議院選挙までに勉強しなければいけない。

<取材・文/望月悠木>

【室伏謙一】
昭和47年静岡県生まれ。静岡聖光学院高校卒業、国際基督教大学(ICU)教養学部卒業、慶應義塾大学大学院法学研究科修了(法学修士)。政財官での実績を生かし、国会議員、地方議員の政策アドヴァイザーや民間企業向けの政策の企画・立案の支援、政治・政策関連の執筆活動等に従事
Twitter:@keipierremulot

フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている
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