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まだ妻に「専業主婦になってほしい」とか言ってるの?

コラム

 昨今、共働き世帯が増えているというデータがある。厚生労働省の「厚生労働白書」などによると、専業主婦世帯を共働き世帯が上回り始めたのは1990年代の半ば頃。以降、2000年代へ入ってからも、その差は開き続ける一方だ。

 しかし、若い女性の「3人に1人」が専業主婦になりたいと思っているというデータもある。夫は外で働き、妻は家庭を守るという固定観念は崩れ行くものなのか。その議論に一石を投じた書籍『専業主婦は2億円損をする』(マガジンハウス)の著者・橘玲さんにお話を伺った

夫と妻で働けば「1+1=2」になる

男と女

※画像はイメージです(以下、同じ)

――初めに、妻も働かなければ“損をする”というのは、どのような理由からなのでしょうか?

橘玲(以下、橘):これはものすごく単純な話で、「働かなければお金は得られない」ということです。昨今、家計が苦しいと実感している人たちも少なくないと思います。

 しかし、厚生労働省の外局である中央労働委員会の「賃金事情等総合調査」では、大学卒業から60歳まで働く人たちの生涯賃金の平均額は男性で2億6600万円、女性で2億1800万円です。しかもこの金額には、退職金は含まれていません。仕事をやめて専業主婦になるという選択は、2億円の「お金持ちチケット」を捨てることなのです。

――専業主婦世帯とは反対に、共働き世帯は年々増加傾向にありますが、今後ますますその流れは加速すると思われますか?

橘:これは時代の流れだと思います。退職金を含めるとホワイトカラーのサラリーマンの生涯年収は約3億円といわれていますが、これでマイホームを購入し、子供を大学まで育て上げ、税金や社会保険料を払えば、老後のためのじゅうぶんな資金を貯められるはずはありません。家計が苦しくなるのは目に見えています。

 妻がパートで働いて、その年収がたとえ200万円でも、10年間で2000万円、30歳から60歳までの30年間で6000万円です。日本だけでなく世界的な傾向ですが、高齢化が顕著になるにつれて社会の価値観が変わり、共働きで長く働こうと考えるひとはますます増えていくと思います。

――昨今は「人生100年時代」といわれていますが、専業主婦を取り巻く社会的な現状をどうみられていますか?

橘:安倍政権は「すべての女性が輝く社会づくり」を推進していますが、これはある意味で「(働かない)専業主婦の老後の面倒まではみれない」ということでもあります。

 2018年から配偶者特別控除の適用範囲が「103万円以内」から「150万円以内」に拡大されたのも一例で、その背景には主婦にも「働いてほしい」という意図が垣間見えます。1000兆円もの借金を抱え、人口減に苦しむ日本経済は、高齢者と専業主婦を労働市場に呼び戻さなければ回らなくなっているのです。

 そう考えれば、配偶者控除や第三号被保険者など専業主婦に有利な仕組みはいずれ撤廃されていくでしょう。将来的には欧州などのように、社会保障は家単位から個人単位に切り替わっていくと思います。

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専業主婦は2億円損をする

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