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セレブ御用達ショップ「キットソン」が復活。米国人創業者が語る、転落と再生

ビジネス

“キットソン” の名前を汚される被害にも

キットソン

ユニークなグッズがバラエティ豊かに揃う店内。カラフルな商品を見ているだけでも楽しい

 ロスさんは、米国出身ではなくカナダ出身だ。カナダのトロントで14年間セレクトショップを経営した後、L.A.へやって来た。まさにアメリカンドリームを「キットソン」で叶えたわけだ。カナダでの経歴も合わせると、ショップ経営歴35年だが、これまでに学んだ最も重要なことは?

常に先手を打っておくこと、そして、誰かに『ダメ』と言われても諦めないこと

 2016年6月、筆者がインタビューした際にロスさんはこう話していた。

「2013年に個人的な事情(生死をさまよう大病を患った)のため店の経営が一時できなかった問題や、2015年春、6店舗増やした際の資金繰り問題を解決するために株式の一部を売却した会社(スペンサー・スピリット・ホールディングス)から詐欺的行為(経営権と2億ドルを失った挙句、取引先の各ブランドへ商品の代金を払わず、勝手に破産宣告された)を受け、“キットソン”の名前を汚されるという被害に遭った。現在、4つの訴訟を起こす手続きを始めている」

「ダメ」と言われても諦めない強い心を

キットソン

コロナ禍に自宅で過ごす人が多いため、スウェットシャツがよく売れるとか

 スペンサー・スピリット・ホールディングス側は一連の訴えに反論しているが、キットソン氏自身はそこから不死鳥のように復活した。その強さはどこからくるのか。

「まさに焼け跡から這い上がるように立ち直れたのは、『店をうまく経営する』という強い信念があったから。人はよく『成功は最高の復讐だ』と言うが、自分の力を信じる心を持つことが大事だ

 コロナ禍で仕事がうまくいかない人たちに向けて助言をしてもらった。

「他人は勝手なことを言うものだ。他人が自分の身になってくれることはない。このコロナ禍はやがて去っていく。今は、自分を見失わず自信を持って、常に強い自分でいることだ

 コロナ禍で色々なことが不可能になっている状態の中でも、交渉相手に「ダメ」と言われても、諦めないでひたすら自分のことを信じてベストを尽くすのみというわけだ。

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