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「反応が薄い」と言われないために…成功する人のすごいリアクション

学び

本音は、0.9秒で出る。1秒後からは、タテマエ

交渉 ビジネス

 相手に「共感」していると、リアクションは勝手に出ます。「リアクションしなければいけない」という時点で、よけいなことを頭の中で考え始めます。「どこでリアクションを出そうか」と思っていると、究極は、相手の話をひとつも聞かなくなります。

 すると、聞いていないからリアクションがとれないという当たり前の現象が起こります。本人は「聞いています」と言っても、相手を見ていないのです。

 リアクションで一番大切なのは、相手の表情を見ることです。たとえば、「ごはんを食べに行こう」と誘いました。相手が「今日はちょっと用事があるので」と言いました。断った理由は「イヤだから断った」「本当は行きたいけど断った」、どちらもありえます。

 これは、相手の表情を見ていればわかります。「ごはんを食べに行こう」と誘った時の1秒までの表情で決まるからです。その一番最初に出る相手の表情は、大脳の深いところで反応しているので、本能の感情です。

 感情は1秒以内に出ます。その後、理性で「でも、ここで感じ悪くなったらいけないから、こういうふうにしなければいけないな」と、社交辞令を言うのが1秒後から始まります。1秒後を見ても、相手がどう感じているかはわかりません。1秒までは相手のホンネが出ています。「あ、残念、今日は予定が入っていた」と言われた時に一番見なければいけないところは、「うれしい」という表情が出ているかどうかです。

相手のリアクションを正しく把握しないと…

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 リアクションは、自分がすることだけでなく、相手のすることも見る必要があります。相手のリアクションを正しく把握しないと、自分の次のリアクションを間違えます。リアクションを間違える人は、相手のリアクションを取り違えています。

 それは相手を見ていないからです。相手を見ることが、怖いのです。相手を見ることは、自分も見られるということです。そこで距離をとりたいと思っていると、相手を見ることができません。そうすると、相手の1秒までの本当の気持ちがわからず、共感性が生まれません。

 その結果、「あなたは人の気持ちがわからないよね」と言われ、ますます怖くなって相手を見られないという負のスパイラルに入ります。リアクションで相手のホンネの気持ちに気づくためには、自分が話している時に相手から目をそらさないことです。

 日本人は西洋人のような、相手とアイコンタクトをしながらのコミュニケーションをする文化はあまりありません。ずっと見ていなくてもいいです。自分が何か言った後の1秒までの相手の表情は見ていることです。1秒後は、タテマエなのでむしろ見なくてもいいです。目をそらして相手を見られないタイプの人は、リアクションが苦手です。「あなたは人の気持ちがわからない」と言われてしまうのです。

<TEXT/作家 中谷彰宏>

1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。84年、博報堂に入社。CMプランナーとして、テレビ、ラジオ、CMの企画、演出をする。91年、独立し、株式会社中谷彰宏事務所を設立。ビジネス書から恋愛エッセイ、小説まで、多岐にわたるジャンルで、数多くのロングセラー、ベストセラーを送り出す。「中谷塾」を主宰し、全国で講演・ワークショップ活動を行っている。「中谷彰宏公式サイト」(撮影:相澤 正)

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成功する人のすごいリアクション

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