コロナ就活で面接官はどこを見ている?“ガクチカ”問題の本質/常見陽平
いわゆる“ガクチカ”問題の本質
就活のオンライン化が進み、企業側も学生たちも“移動”の手間が省けたことで可能性が広がった。しかし、メリットばかりではない。学生たちが“個性”を出しづらくなったと感じているのは顕著な変化だ。
目立つのは「学生時代に力を入れたこと」、すなわち“ガクチカ”の問題だ。コロナ禍の影響で、彼らの大学生活が画一化されつつある。外出自粛や移動の制限により、サークルをはじめ、さまざまな体験をしづらくなってしまった。
ただ、この問題については誤解がある。筆者も過去に企業で面接を担当したことがあるが、実際に面接官が見ているのは「何をやったのか」よりも物事に対して、「どう取り組んだのか」という姿勢だ。
ネット上では白黒をつけたがる論調もあるが…
例えば、こうしたメディア関係の会社で「アルバイトをしていた」と、経験をアピールする学生もいる。しかし、たまたまOB・OGとのツテで入り込んだならば「自分から何もやってないよね」と面接官は評価するし、彼らが真に知りたいのは「どんな仕事をしていたのか」「何を大切にしていたのか」「困難をどう乗り越えたのか」などであり、取り組み方などをみている。
また、珍しいとされるエピソードでいえば「サークルを立ち上げた」といった話もよく聞く。ただ、これについても「新しいく何かを起こした」という点においては評価されても、見方によっては「OB・OGのしがらみもないし、かえって楽だよね」と指摘することもできる。
就活に対するネット上の論調では「この体験は◯で、この体験は×だ」と白黒付けるようなものも目立つ。ただ、企業側があくまでも見たいのは、個人の価値観や行動特性、思考回路だ。
つまり、「何をやった」かだけでなく「どうやったか」「誰とやったか」「何を大切にしたか」である。それされふまえれば、オンライン化した時代の経験であっても、他の学生たちとの差別化は十分に可能だ。