「若者の政治離れ」という傲慢な声と“維新”の躍進。衆院選を今さら振り返る
2021年10月31日に投開票が行われた「第49回衆議院議員選挙」。コロナ禍初の総選挙では、自民・公明の連立政権が与党としての絶対安定多数を確保した。日本維新の会が躍進し、大物政治家が相次いで落選する大きな変化も。少し時間が経ったが、衆議院選をもとに、時代の空気を読む。徒然なるままに語る。
果たして「若者の政治離れ」は本当か?
今回の選挙では、18~19歳の投票率が43.01%となり、前回の2017年の衆議院選における41.51%をわずかに上回った。とはいえ、必ずしも高いとはいえない。ただ、この手の話で語られる「若者の政治離れ」ではなく、むしろ「政治の若者離れ」が本来の姿ではないか。
若者が新聞はじめ伝統的なメディアとふれる機会が減っているのは事実だ。実際、彼らは有象無象の情報が並ぶスマホを情報源としている。よくSNSが若者の情報源と言うが、それも上の世代とは異なっている。
Facebookはいまや「ネット老人会」と揶揄されていて、若者は使わない。Instagram、いやいまやTikTokが情報源だ。ただ、政党、政治家の発信方法や、掲げる政策のどれもが10代に寄り添っているわけでもなく、自分ごととして捉えられないのであれば離れていくのは必然だ。
「なぜ選挙に行かないのか」は議論するべき
筆者自身、大学教員として学生に政治について尋ねる機会がある。よくよく話を聞いてみると学生たちは関心がないわけではない。個別に「選択的夫婦別姓に興味はあるか?」と聞けば、それぞれ意思表示をするし、給付金のように学生をサポートしてくれるものについて聞けば「関心あります」と答えてくれる。
1年生6人と会話していて「それ、選挙で解決できるかもよ」と伝えたところ、6人中5人が選挙に行った。行かなかった1人は不在者投票のやり方がよくわからず断念した。皆、選挙に行くことを楽しんでいた。調べてみると、面白いと。