朝ドラの撮影は毎日楽しかった

――役者として影響を受けた先輩はいますか？

瀧本：現場で素敵だなと感じた先輩方はたくさんいますが、私が初めて出演したドラマの朝ドラ『てっぱん』のときにご一緒した富司純子さんには大変お世話になりました。経験のない私にもすごく優しくしてくださって、気遣いもとても素晴らしいのですが、いい意味でおおざっぱというか、おおらかなところもあってとても素敵な方でした。良い作品に感動したり、影響を受けたりすることもありますが、この人みたいになりたいという思いを抱くことはありません。自分は自分だと思っているので。

――朝ドラの経験を、今振り返ってみてどう感じますか？ とにかく撮影が大変だという話も聞きますが。

瀧本：あの時期にヒロインとして真ん中に立たせていただけたというのは、とても大きなことですし、そのときに感じたことはずっと消えません。あの経験が、私にとっては本当に大きいです。何も考えずに本能のままに演じられて、とても心地よかったです。毎日楽しかったということしか思い出せません。

自分が“北斎”のようにありたい

――10年の活動のなかで、波もあったと思います。何がモチベーションになっていますか？

瀧本：自分が表現したことで、観てくれた人の人生になにか少しでも良い影響を与えることができたとき、美織ちゃんのおかげで人生諦めずにいられたなど、そうしたメッセージをいただいたときはすごいモチベーションになります。

――ありがとうございます。最後に映画公開へのメッセージをお願いします。

瀧本：自分の思いを押し殺したり、突き進めなかったりする世の中ですが、自分の信念とやりたいことを生涯をかけて貫き通す北斎の姿には、私もすごく刺激を受けました。私と同年代や、もっと若い方にも、大事なことは自分がどうしたいかだと思ってもらいたいです。

――ちなみに北斎のように自分の信念を貫き通そうとしている人を好きになったら、瀧本さん自身は支えたいですか？

瀧本：どうでしょう。本当に好きな人だったら、支えたいと思うでしょうけど、でも私は、自分自身がそうなりたい気がします。自分が北斎のようにありたいです。

＜取材・文・撮影／望月ふみ＞