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東大卒の住友商事マンが28歳で起業して「フリーランス」になった理由

ビジネス

起業家は「何か特別な才能がある人」ではない

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会社に頼らず自分の力で生きたい人にはきっとヒントとなる、小林氏の著書。『なぜ僕は「ケニアのバラ」を輸入したのか?』

――「失敗は成功のもと」と著書でも書かれてますね。

小林:そう。そうですね。大事なのは、挫折や失敗を失敗と思わないこと。失敗は「成功への経験」です。失敗体験は将来の成功のための経験、学び、教訓、そしてノウハウとなり、やがてはビジネス哲学につながります。

 だから、失敗は早いほうがいい。もし、フリーランスになりたい、独立したいと思っている20代、30代の人がいるなら、失敗も含めて経験と考えれば、やり直しがきく早いほうがいいと思います。

 フリーランスとか、起業家というと、何か特別な才能がある人、カリスマ的な個性がある人と思われがちですけど、そんなことはありません。失敗体験や成功体験を重ねるうちに、自分の「強み」が身につくんです。

 アメリカのベンチャーなんか、少なからず失敗してますよね。日本は会社が倒産すると個人の資産まで紐づいちゃうので、失敗が怖いんだけど。それでも、以前より再チャレンジを許す世の中になっていると思います。

 経営者というのは、常に赤字や倒産への不安を抱えています。だからこそ、メンタリティが大事なんです。でも、タフなメンタルも、強みも、最初からある人なんていません。経験するうちに備わってくるものです。

まずは小さいプールへ飛び込め

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バラを輸入しているソジャンミ農園(小林邦宏氏提供)

――小林さん自身の「強み」は何だと思いますか?

小林:僕のですか? そうだなぁ……「世界を知っている」「情報収集能力」「コミュニケーション能力」でしょうか。コミュニケーション能力とは、外国語が話せることではありません。交渉能力とでもいいましょうか。

 交渉事をいっぱい重ねてきたから、備わった強みです。もちろん、学生時代や財閥系商社時代には、こんな強みありませんでした。独立して経験するうちに形成されたものです。だから、飛び込むなら早いほうがいい。

――でも、飛び込む先のプールが見つからない人もいますよね。

小林:ああ、なるほど。それは、飛び込む先のプールがわからないというより、「自分の強み・弱み」という機能がわかっていないからでしょう。新卒だったら、社会人の経験がないんだから、当然そうですよね。

 そういう人はまず小さいプール、つまり小さい組織に飛び込むことです。大企業は歯車になりがちですが、中小企業は一人何役もこなさないといけない。そうするうちに「自分の強み・弱み」がわかってきます。

 フリーランスというと単独で仕事するイメージがあるでしょうが、プロジェクトはチームで動きます。「自分の弱み」がわかれば、どのプロと組むべきかわかる。僕でいえば、世界の生産者、現地ガイドもそうですね。

 なので、繰り返しになりますが、まずは飛び込んでみること。飛び込んで経験を積めば、自ずと「強み」が身につく。その自分の「強みの機能」を突破口にすれば、ビジネスの扉は次々と開かれていきます。

なぜ僕は「ケニアのバラ」を輸入したのか?

なぜ僕は「ケニアのバラ」を輸入したのか?

東大⇒財閥系商社というキャリアを投げ捨て、世界を旅しながら自由に働く道を選んだ「フリーランス商社マン」の生き方

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