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異色の経歴の公務員が進める渋谷区「副業人材」募集。「国際的なスタートアップ都市に」

ビジネス

 会社員の副業解禁の流れを受けて、企業だけでなく自治体でも「副業人材」の活用が進められている。2020年には兵庫県神戸市がリモート勤務OKという条件で副業人材の募集を始め、県内外から多くの応募が集まったことも話題になった。

渋谷

※画像はイメージです

 そして、2021年に入ってから新たに副業人材の募集を始めたのが、東京都渋谷区だ。キャリアSNSサービスを提供するベンチャー企業「YOUTRUST」と組んで、同社のキャリアSNSを通して副業人材を募集(2月28日まで実施)。勤務は原則テレワークで、居住地を問わず全国から人材を募集した。

渋谷区が「副業人材」募集する経緯

 そんな渋谷区の副業人材募集の特徴は、同区内に籍を置くスタートアップ企業の支援に携わる人材を募集している点だ。具体的には以下の4職種が募集枠になっている。

① スタートアップ支援事業のコミュニティマネージャー
② スタートアップ招聘担当 with 海外アクセラレーター
③ 海外への日本発スタートアップ プロモート担当
④ スタートアップ実証実験推進担当

 1990年代からインターネット関連のスタートアップ企業が集結し、一時は「ビットバレー」とも呼ばれた渋谷区。このタイミングで初の副業人材募集を始めたのは、どのような意図があったのか。今回の副業人材募集の責任者であり、渋谷区産業振興課でベンチャー支援事業を担当する田坂克郎氏に、渋谷区が求める副業人材像を聞いた。

「なんといっても『熱意のある人』に来ていただけたらと思っています。もちろん、スタートアップやプロジェクトマネージャーの知見があったり、英語のスキルがあるにこしたことはありません。しかし、なにより『スタートアップを通じて街づくりや自治体に関わりたい』という熱い思いを持った人に参加して欲しいんです」

海外から人材を呼び込むための業務

渋谷区

渋谷区産業振興課の田坂克郎氏

 今回の募集業務は、田坂氏が計画していたものの「人手が足りずにできなかったこと」だという。どれも渋谷のスタートアップの地盤をより強固にする狙いがある。

「たとえば②の『スタートアップ招聘担当 with 海外アクセラレーター』は、海外から人材を呼び込むことがメインの業務。スタートアップが育つ環境づくりのためにはまず人が集まることが必要です。渋谷区では近々、1年間有効なスタートアップビザの取得支援も進めているので(東京都の制度では6か月ビザ)、そういった制度も活用して、どんどん人を集めてもらいたいです」

 環境整備とともに、田坂氏は海外へ渋谷のスタートアップ情報を発信することも重要だと考えている。

「③の『海外への日本発スタートアップ プロモート担当』は文字通りPR業務。スタートアップ支援が成功している国や海外の都市を見ると、どこも英語で自国のスタートアップを発信しているメディアがいくつもあるんです。どれだけ優れた企業があっても、認知されないことには人もお金も集まりません。発信はとても重要です。そして多くの人に伝えるためには英語での発信が効果的ですし、実際にそれで他国は成功しているので、重要な業務ですね」

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