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根深い「アスリートの性的画像」問題。盗撮でも罪に問えないのはなぜか

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週刊誌の無断掲載はどうなの?

パパラッチ

 今回のアスリートの件とは別に、芸能人が写真週刊誌のすっぱ抜き記事などで、本人に無断で写真が掲載されるケースが以前からありました。これまで法的にも倫理的にも問題視されていなかったのはなぜでしょうか。

「芸能人に対する名誉棄損やプライバシー侵害は、一般人に対するものと比べると、裁判所で認定されにくいのが理由のひとつであると思います。写真週刊誌の記事が、芸能人個人の名誉を棄損するものであれば、理屈としては出版社に刑事上の名誉棄損罪の成立することや、民事上の損害賠償責任が発生することとなります。

 しかし、名誉棄損の考慮要素の判断のひとつとして、『事実の公共性』や『目的の公共性』の有無が必要となります。ざっくりいうと『みんなその記事に興味あるよね』となると、名誉棄損にならないということです

 この要件があるため、一般人に比べて芸能人の名誉棄損は、刑事上も民事上も成立しにくいといえます。これまで問題視されなかった背景については、芸能人が名誉棄損についての訴訟を起こすことにより、事業上のさまざまな弊害(時間がかかる・世間の印象がよくない・負けた時のイメージが悪いなど)が生じることがあることが考えられます」

 男女を問わず、写真撮影によって不快な思いをするアスリートが減ることが一番ですが、現状の法律では解決に程遠いようです。だからこそ、アスリート側や競技団体や賛同者が声を挙げることで、東京オリンピック開催までに状況が改善されることを願いたいです。

<TEXT/目黒川みより>

フリーペーパーを発行する出版社勤務を経て、現在はWEBデザイン会社にてディレクターとして勤務。お忍びで「心の問題」を扱う執筆活動を続ける

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