ウイルス感染や口臭につながる「口の乾燥」。冬の口腔ケアで防ごう
寒さで口の筋肉が硬直すると…
寒くなると、体がこわばり、口周りの筋肉が硬直しやすくなります。実は口周りの硬直は、意外な症状の原因となるのです。
① 歯痛
筋肉が硬直すると、上下の歯を噛み締めてしまいがちです。普段、上下の歯は当たっていなくて、2〜3mmの隙間がありますが、強く噛み締めると、歯にはとてもストレスになります。歯は歯茎の下で、骨とつながっています。歯と骨の間には、靭帯が0.2mm程度あり、クッションの役割をしており、噛み締めが続いて靭帯に負担がかかると炎症が起きます。これがいわゆる「歯が浮いた」状態で、もっと続くと歯に痛みが出ます。
② 顔面痛・顔の変形
硬直は筋肉にも負担をかけます。筋トレで、普段より重いバーベルを長時間あげ続けているのと同じ状態です。そんなに負担をかけては筋肉が痛みます。頬に痛みやダルさを感じることがあれば、それは寒さで筋肉が硬直しているせいかもしれません。中には、硬直によって筋肉の量が増えてエラ張り顔になり、顔の形が変わってしまう人もいるほどです。
③ 顎の関節痛
知らないうちに、耳の前にある顎の関節を痛めているケースもあり、治療の開始が重症化してからだと、長期間にわたり痛みに悩まされることがあります。口を大きく開けたり、耳の前の関節のところを指で押したりした時に痛みがないか、時々セルフチェックしてください。
④ シワ
硬直も繰り返しになると、肌に刻まれてしまいます。口周りのシワや、オトガイ(顎の先端)がシワシワになる「うめぼしシワ」の原因になることもあります。
⑤ 舌の変形
歯を噛み締めてしまい、歯の形の跡が舌にうつってしまったことで舌の形が変わることも珍しくありません。舌の周りの形が凸凹している場合は、硬直が原因の可能性があります。歯科医院でマウスピースを作ってもらうと、元に戻ります。
マスクによる口呼吸のデメリット
マスクをつけると、知らないうちに口呼吸になってしまいます。口呼吸にはたくさんの弊害があります。
① 歯周病・ムシ歯・口臭
口呼吸は、口の中のツバが減り、口が乾きます。先ほどお話ししたように、これは口の中の細菌が増える環境です。歯周病やムシ歯のリスクがアップし、口臭が強くなります。
② 肌・唇荒れ
マスクの下での口呼吸は、息の温かさと湿度で皮膚表面に水分がたまりやすくなります。高温多湿肌の悪玉菌を増やし、皮膚強化バリアを傷つけてしまいます。マスクを取ると、水分は蒸発しますが、一緒に皮膚の中の水分も奪って肌の潤いがなくなってしまうのです。
③ ニキビ
皮膚表面に増えた悪玉菌の中には、ニキビの原因となるアクネ菌も含まれます。マスクを付けることで、口周りのニキビが悪化するのはこのためです。