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「カフェブームの立役者」に聞く、ミーハーから流行を生み出すには

ビジネス

海外のブームを日本に持ち込むトレンドセッターに

トランジット

2010年に手がけた青海のレンタルオフィス「the SOHO」。当時まだなかったシェアオフィスという概念の先駆けとなった

 そこからマンションやシェアオフィス、レストランなどあらゆる空間プロデュースに関わるようになったトランジットは、次々とブームを巻き起こす業態を世に出していく。2008年に海外とのライセンス契約を経たのち、世界一のかき氷「ICE MONSTER」や、オーストラリア発のモダン・ギリシャレストラン「THE APOLLO」をオープンさせた

「日本に海外の店舗を上陸させることで、今までになかったカルチャーを日本に根付かせることができたと思っています。例えば、日本ではカジュアルに食べられているタイ料理をかっこよく、さらに、スタイリッシュな空間で味わえる『Longrain』のオープンや、ハワイのモダンベトナムレストラン『THE PIG & THE LADY』など、海外ではかっこよく食べられているものを日本でも同じようにかっこよく味わえる“場所”を創造していくことを念頭においているんです」

 カフェ、パンケーキ、かき氷からホテルロビーのラウンジスタイル、シェアオフィスなど、日本にさまざまなカルチャーを根付かせてきたが、日頃からどのような情報収集をして、アンテナを張っているのだろうか。

『本気の立ち読み』と言っているんですけど、本屋で片っ端から気になる雑誌を立ち読みするんです。複数見れば、だいたい何がトレンドなのかの最大公約数が知れる。あとは同じような“ミーハー仲間”を見つけて定期的に情報交換。SNSも見ますが、気になるジャンルのオピニオンリーダーをフォローしておくと自分が知らない情報を得やすいと思います」

「預金ではなく、経験に貯金する

トランジット

11月5日に新しく丸の内エリアに開業した「丸の内テラス」内の9、10階にオープンする「THE UPPER(アッパー)」。“TOKYO CLASSIC RESTAURANT”をコンセプトにした独創的なフレンチをカジュアルに楽しめるレストランだという

 また「インプットだけではなく、アウトプットすることが非常に大事」とも説明する。インプットだけでは本当に何が良いものなのか、本質がわからないからだという。

「実際に目で見て体感し、自分のものにしないと本当のトレンドは掴めない。まずは、何にでも興味関心を持って体感してみること。いろいろな経験をするために自己投資し、『預金ではなく、経験に貯金する』くらいの気概を持つといいでしょう。

 そして、何よりアウトプットを積極的にすること。インプットしたものを共有できる人間関係を築き、情報交換する。アウトプットすれば周囲の反応もわかるし、時には情報を得られることもある。『アウトプット力を高めるためにインプットする』と考えるといいのではないでしょうか」

「話題を生んでブームにする」ために心がけていることについて、中村氏は「小さなブームを大きな波へするために“グルーピング”が大切」とし、次のように説明する。

まず『ファストファッション』や『朝食』みたいに、グルーピングできそうなものにアンテナを張る。ジャンルが決まれば、雑誌のコピーのようなネーミング、コンセプトを固め、そこから内装やグラフィック、ロゴ、出店場所と因数分解していく。あとは雑誌に取り上げられるコンテンツや要素を切り出し、『誰と誰、何と何』を組み合わせれば、話題になるかを見定める。この一連の流れが重要だと考えています」

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