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「モバイルPASMO」がiPhone対応。Suicaと何が違うのか

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Suica、PASMOの2強体制へ

 SuicaやPASMOなどの非接触型ICカードに使われているのが、ソニーが開発した「Felica」技術だ。携帯電話への搭載は早くも2004年から始まっており、iPhoneが登場するはるか前から、国内では「モバイルSuica」などが利用されてきた。

 同じFelica規格でも、Apple Payが対応しているICカードはSuicaとPASMOだけだ。地方でのみ使われているものも含め、国内には20種類を超える「交通系ICカード」が存在するが、それらはApple Payには対応しておらず、今後する見込みも乏しい。

 もっとも、ある駅(首都圏外)の改札機がSuica/PASMOとの相互利用に対応していれば、有効なICカードを選ぶことでApple Pay対応のモバイルサービスを利用できる。この方法では、モバイルSuicaに地方の鉄道の定期券を載せることはできないものの、運賃のチャージ・支払いは可能となる。

 そういうわけで、九州や北海道にもモバイルSuicaのユーザーが多くいるが、今後はモバイルPASMOもその選択肢に加わるというわけだ。

“ご当地カード”だらけの日本列島

PASMO

「スマホ」と「ガラケー」が並び立っていた2010年代初頭、Felicaのような接触式ICカードは、日本独自の“ガラパゴス規格”だと見られていた。ところがiPhoneへの搭載などで潮目は変わり、非接触ICカードの市場は世界的にも成長している。

 とはいえ、北海道から沖縄まで、地方ごとにまちまちな「交通系ICカード」が濫造(らんぞう)されている状況は日本独特で、“ガラパゴス”的進化だといえる。

 ところで、JR東日本や株式会社パスモなど電子マネーの運営母体は、ユーザーに現金をチャージさせることで、事実上「無利子での資金調達」を行っている。また、ユーザーの預入金が失効したり、死蔵されていたりする場合にも、それはそのままプラットフォーマー(運営会社)の儲けになる。

 したがって交通系ICカードを含め、電子マネーのプラットフォーマーになることにはメリットが大きい。この十数年で無数の「交通系ICカード」が作られてきたが、その背景にはそういう事情もあるはずだ。

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