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ダンロップ、冬用タイヤ開発の裏側「かかった時間は夏用の3倍」

ビジネス

 雪が積もる季節には必須となる「冬用タイヤ」。ブリヂストン、住友ゴム工業、横浜ゴム、TOYO TIREなど工業用ゴム各社がしのぎを削っている。年々性能アップしているタイヤだが、その開発はどのような人物が行っているのだろうか?

冬 タイヤ

画像はイメージです

 タイヤ開発の大まかな流れとして、まずお客様の要望をもとに営業企画部門が開発設計部門へと企画を持ち寄り、「次はどんな製品にするか?」という開発目標を決め、いよいよ開発スタート。具体的な設計図が作られ、タイヤ性能評価担当者が実際に走行試験を行いながら、開発設計部門と共に製品開発を進めていくそうだ

同乗しただけで違いがわかった

 今回は、ダンロップを手掛ける住友ゴム工業株式会社の冬用タイヤ開発に関わる若手社員のうち、設計、試験、営業企画担当の3名に、開発の苦労や裏側を聞いてみた。まず営業企画部門の北山眞氏が、今回の冬用タイヤについて語る。

「ピンと来にくいと思うんですけど、冬用タイヤは氷上性能が10%くらい進化するのが相場値なんです。しかし今回は22%という性能向上を実現しました。私は同乗しただけですが、違いがわかりました。みんなが満足いく製品ができたんじゃないかと。コロナの影響がなければ、超バカ売れしていたんじゃないかなと個人的には思ってます(笑)」(北山氏)

 タイヤ業界にもコロナの影響はあるのだろうか。

「多少はあると思います。ただ、コロナの影響があっても、しっかり売っていくということが、我々に課せられたミッションだと思ってますので、技術部門と最初に約束した本数目標や利益目標はしっかりと達成できるように準備していきたいなと思っています」

氷上性能以外にも気を配る

中島翔氏

中島翔氏

 22%の氷上性能アップという数字をたたき出した今回の新冬用タイヤ開発。一方で、失敗や苦労もあったという。タイヤ設計担当の中島翔氏はこう話す。

「失敗はいっぱいしてるんですけど、あまり外で言えないんです(笑)。苦労話で言うと、一般的にスタッドレス開発他社さんもそうなんですけども、氷上性能を上げようとすると、当然背反するところが出てきます。

 例えばゴムがやわらかくなって、走るときにぐにゃぐにゃに感じたりとか、すごくすり減りやすくなったり、摩耗が落ちたりしてしまう。氷上性能を突き詰めすぎても、他のところがちょっと凹んだ性能になっちゃうっていうのがあるのが、僕らが常に気にしてるところですね」

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