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コロナ感染した30代記者、8日間のホテル療養で「話し相手はロボットだけ」

コラム

8月5日(水):ホテル療養7日目

 外出が一切禁止されるホテルでの軟禁生活だったが、それなりに快適に過ごすことが出来ていた。むしろ猛暑日続く、真夏の外界に放り出されるくらいなら、もうしばらくはホテルで過ごしたいと思っていたくらいだった。

 ところが、この日の夕方、いきなり内線で明日退所となる旨を伝えられる。少なくともあと3日間はホテルで生活するつもりでいたので、戸惑いを覚える。仕方なく、この日のうちに身支度を始めることにした。

書類

退所時にわたされた書類の一部

8月6日(木):ホテル療養最終日

 朝一番に最後の検温を済ませ、朝食のあとに指定された10時に1階ロビーに降りる。ホテルの駐車場に設置されたテントで、今後の生活の注意事項などが記された書類一式を渡され、退所となった。退所時に再度PCR検査を受けることはなかった。

 渡された書類には、退所後4週間は検温など毎日健康状態を確認することや、咳や発熱などの症状が出た場合の対処、石けんやアルコール消毒といった衛生対策を引き続き徹底することが記されていた。

 当初の予定では、陽性判定から10日間と72時間の経過観察を経て、退所となるはずが、実際は、陽性判定から自宅待機の1日とホテルに滞在した8日間の10日弱だった。

 日ごとに発表される都内の感染者数は3桁を越える状況で、収容できるホテルのキャパを越えるのは時間の問題だったし、私のような症状のない人間をいつまでも隔離するより、重症者を優先させるべきという判断なのかもしれない。

後日談。周囲への影響は…

退所時のホテルの外観

退所時のホテルの外観

 今回、陽性判定を受けて、約2週間ほど働けない状態が続いた。発症の前日に居た施設(コワーキングスペース)では、コロナ陽性者が出たということで、保健所の指導に加え、各関係者への報告に追われたり、当初予定していたイベントを中止にするなど大変な状況だったらしい。

 実はそこの施設の運営を手伝う話があったのだが、責任をとる意味で、その話も白紙となった。自分で招いた結果であって、仕方がないと思う。

 一方で、飲食店での仕事は特にわだかまりもなく再開し、ライター業のほうも変わらず継続できている。結果として、今のところは経済的な損失も大きくならずに済んでいるといえる。

 この手記が同じ苦境に立たされた人にとっての参考、あるいは反面教師となればと思う。

<TEXT/目黒川みより>

フリーペーパーを発行する出版社勤務を経て、現在はWEBデザイン会社にてディレクターとして勤務。お忍びで「心の問題」を扱う執筆活動を続ける

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