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衣食住がすべてタダ。渋谷の「0円研究家」不思議な生き方

暮らし

 具体的に稼ぎたい金額についてたずねると、「目標金額はない」と言います。

「好きなように生きることが人生の本質だと思ってます。あくまでお金はそのための手段です。むしろ今はお金よりも信用を稼ぎたい」

「信用稼ぎ」はブルーオーシャン

 まー坊さんが、お金よりも信用を稼ぎたいと考えるのは「そのほうが簡単だ」からなのだとか。その意図をこう説明します。

「今はまだ『信用稼ぎ』の参加者が少ないので、ブルーオーシャンなんです。信用を稼いでフォロワーを獲得するには、『希少性の高い経験』をすることが何より大事だと思ってます。0円ハウスを立ち上げた経験に希少性がありますし、入場料をお金じゃなくて食べ物としたのも、希少性です」

 レアな体験・経験は、人が関心を持つコンテンツに変換できると、したたかな一面を覗かせます。今後やりたいことについて聞いてみると、

「全国に0円ハウスを増やして、行く先々で自分が泊まれるようにしたいです。まずは福岡からですね。福岡が好きなので。家賃安くて都会だし、飯もうまい。しかも女のコがかわいいので、言うことなしです」

 と全国展開の野望を語ります。そこにも自己ブランディングの視点があることは言うまでもありません。

0円ハウス

「漫画を描く、プロゲーマーを目指す、自分専用のカツラを作りたい。やりたいことは多い」と語るまー坊さん

サラリーマンで消耗している20代に

 最後に20代ビジネスパーソンに向けたアドバイスを求めてみました。

『もう一回見直そう』と言いたいです。自分の人生、幸せについて、ものすごく真剣に考えている人は案外少ないです。大半の人は、できあがった基準を盲目的に信じています。

 死んだように生きるサラリーマン人生よりも、会社辞めて、たとえ寿命縮めたとしても『生きてる実感』のある生き方を選んだほうがいい。人形みたいにはならない」

 そのためにも情報とは積極的に取り入れるべきと述べます。

「考える時間、一人の時間を作って、外部からの情報を積極的に取り入れるのが大切です。ツイッターで受動的に情報を取るだけでなく、たとえばオンラインサロンに入って能動的に情報を取りに行く

 情報の質と流動性をあげれば、情報同士が結びつきを持つようになります。私がタイムチケットの存在を知ったのはインターン先の社長からですし、場所貸しビジネスを知ったのは、そのタイムチケットに関するコミュニティ内の情報からでした」

 さらに、こう続けます。

「情報自体はすでにグーグルに存在しても、知ってないと調べることができません。普通の人は旅行に0円で行けるとは思わないから、そもそも調べようとしない。でも実際にはマイルを駆使したりすれば、0円旅行は可能です。

 それを知らない人は『旅行 格安』とかで検索し続けるわけです。一方で『旅行 0円』で検索する人がいて、その差って要は『0円で旅行に行ってる人がいることを知っているかどうか』だけなのです」

 就職しないでゼロ円生活という自由な生き方は、高い情報感度と情報リテラシーによって支えられているのかもしれません。

<取材・文 栗林篤>

【0円研究家・まー坊】
@ma_bo_0jpy。青山学院大学卒。「モンスト」で関東大会1位の実力者でもある。あらゆるコストをゼロにするため日々研究

元IT企業のサラリーマン。株主優待と家賃収入で細々と暮らすフリーライター。著書に『サラリーマンのままで副業1000万円』がある

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