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ストロング系、市販薬…身近な依存症。専門家が語る「最も深刻な薬は…」

市販薬・処方薬でも依存になってしまう

――「●●●●●ウォッカ」とか、居酒屋とかでも見たことあります。

松本:少なくともどっちかひとつにしてほしいです。というのもカフェインが入っているアルコール飲料は酔っている自覚がなくなってしまうからです。

 大丈夫だと思っていたら、腰がたたなくなったり、変に興奮して喧嘩を起こすといったトラブルが多いと言われています。

 特定のものだけでなく、市販薬・処方薬では決められた通りの使い方をすることも大切です。医師の指示、添付文書から逸脱した使い方は立派な薬物乱用です。その積み重ねが依存症につながります。

 我々は合法か違法かに限らず、様々な依存性薬物に囲まれて生きています。もちろん、違法薬物はどう考えても安全とはいえないものですが、身近なもの、合法のもののなかにも使い方次第ではかなり危険なものがあるということをわかってほしいのです。

一人で頑張る人のほうが依存症になる

落ち込む

――どんな人が依存症になりやすいのか、また気を付けるべき点を教えてください。

松本:決して反社会的で破天荒な人が依存症になりやすいわけではありません。どちらかというと愚痴ったり、ぼやいたりするのが苦手で、黙々と一人で頑張る、“頑張り屋”な人に多いです。

 ワイワイ盛り上がり、悪口を言っているときに、ニコニコしながら悪口も言わず「大変だね……」とつぶやいている人が依存症だったりします。

 依存症の方たちというのは、化学物質だけで自分のつらさを乗り越え、表向きの適応をしている方たちに多いのです。

――最後に薬物依存に陥らないためにアドバイスをお願いします。

松本:大事なことは何か悩み事や困りごとがあれば、誰かに相談することです。友人に相談できる相手がいない、あるいは友人にどこまで話していいかわからない、そういった場合は、アルコールや市販薬で気持ちを紛らわせるのではなく、精神保健福祉センターや保健所など公的な相談機関や、様々な民間の支援団体を活用するとよいでしょう。

 相談した結果、精神科医療機関を紹介され、そこに受診した結果、安定剤や睡眠薬が処方されることもあるでしょう。その場合には、なぜそれが必要で、どんな効果や副作用があるのか、そもそも自分が抱えている問題が治療薬で解決するものなのかどうか、といったことを十分に聞いたうえで、医師の指示を守って服用することを心がけてください。

 こうした人との言葉のやりとり、コミュニケーションが重要な治療の一部をなしています。とにかく、ものではなく、しっかりと人に頼ってほしいです。 

<取材・文/小林たかし 撮影/詠シルバー祐真>

【松本俊彦(まつもと としひこ)】
精神科医。国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 薬物依存研究部部長 兼 薬物依存症治療センターセンター長。医学博士。1967年生まれ。93年佐賀医科大学医学部卒業。横浜市立大学医学部附属病院などを経て、2015年より現職。近著に『薬物依存症』(ちくま新書)がある

フリーランスのライター、主にweb媒体を中心に様々な分野で執筆を手掛ける。守備範囲は広いがとりわけ、変なもの、ことに関する興味が強い。最近の目標はヘビトンボを食べてみること。

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