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19歳少年が“違法改造iPhone”を販売して逮捕。罪に問われるボーダーラインは?

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ゲームのために脱獄するハッカー文化

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 過去10年で大きく拡大したのが、App StoreやGoogle Playで販売されるスマホゲームの市場である。正常なiOSでは、プログラムを改変してゲーム進行を有利にする「チートツール」を用いることはできないが、脱獄iPhoneではこれが可能となってしまう。

 件の少年も約60台の脱獄iPhoneを販売していたというが、買う側としては「ゲームのチートに用いるため」という動機が大きいようだ。

 チートツールの利用は、ゲーム運営会社の業務を妨害し、損害を発生させることにもつながる。警視庁サイバー犯罪対策課からは「違法行為として処罰される可能性がある」との警告も発されている。

「ゲームでズルをしてみたい」という願望自体は別に、そこまで責められるものでもないだろう。『ドラクエⅣ』のカジノの裏技を試したからといって、現実世界での犯罪行為として問われることはないし、「コナミコマンド」はゲーム文化の一部である。四半世紀前のゲームである『FFⅥ』のバグを研究し続け、最短クリアの記録を更新するゲーマーたちの研鑽も、ハッカー文化の一環として讃えられるべきだろう。

 ただし現代のオンラインゲームやソーシャルゲームでは、ゲーム内通貨の改変が、実社会での「贋札作り」にも相当する影響力を持ってしまう。「改造iPhone」をわざわざ求めるのもそのためだろうが、避けるべき行為であると重ねて明言しておきたい。

<TEXT/ジャンヤー宇都>

「平成時代の子ども文化」全般を愛するフリーライター。単著に『多摩あるある』と『オタサーの姫 〜オタク過密時代の植生学〜』(ともにTOブックス)ほか雑誌・MOOKなどに執筆

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