19歳少年が“違法改造iPhone”を販売して逮捕。罪に問われるボーダーラインは?
脱獄することで生まれるリスク
脱獄に対してAppleは厳しい姿勢で望んでおり、1度でも脱獄した形跡のあるiOSデバイスは、適切な修理対応や保障を受けることができなくなる。Appleの規約に違反していることは確かだが、脱獄を行うことで直ちに刑法犯として問われるということはない。
たとえばアメリカの場合、「金を出して買った機器をどう使おうとユーザーの勝手だ」という広範な合意があるため、正当な目的のために行われる脱獄は合法だという判断が示されている。
今回、少年が逮捕に至ったのも、改造を施した品を「Apple iPhone」として販売した商標法違反の容疑であって、「脱獄したこと」自体が罪に問われているわけではない。
ただしそれでも、現在の状況で脱獄はおすすめしない。脱獄には「文鎮化」(端末が2度と動かなくなる)のリスクがあるほか、セキュリティ改善を含むApple公式のアップデートを受けられなくなる。また、以前と比べて端末の価格が高くなり、iPhoneは「壊れてナンボ」の遊びかたをできる玩具ではなくなった。
違法な「野良アプリ」の危険性
iPhoneにアプリを追加するためにはふつう、Appleが運営する「App Store」からダウンロードする必要がある。App Storeで配信されているアプリはすべてAppleによって審査されており、ユーザーへの悪意のあるアプリや、セキュリティ面で問題のあるアプリ、違法性が強いアプリは利用できないようになっている。
ところが脱獄を経ることで、「App Store」以外のアプリケーションストアが利用できるようになる。ここではApp Storeと同じポリシーでの審査は行われていない。
したがって、iPhoneに重大なエラーを引き起こすようなアプリや、個人情報が流出してしまうようなアプリをダウンロードしてしまう懸念がある。「裏技」に興味があるからといって、気軽に手を出すのはやはり避けるべきだ。