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負債17億円を返済!金メダリストを支える信州の有名病院とは?

ビジネス

 5月24日放送の『カンブリア宮殿』(テレビ東京)で、金メダリストの小平奈緒選手が所属する病院でもおなじみの、長野県松本市にある相澤病院が紹介されました

 一時は17億円もの負債を抱えた同病院ですが、さまざまな改革に取り組み、今では地域に必要不可欠な病院となっています。数々の試練に立ち向かい、病院経営改革に新風を吹き込んだ相澤病院理事長の相澤孝夫氏とはどのような人物なのでしょうか。

医療体制の根本を変えた独自の救命救急センター

相澤病院外観

相澤病院外観 photo by Densan2 CC BY 3.0

 相澤病院の救急医療体制は、従来の救急医療現場ではありがちな常識や慣例が大きく見直された「患者第一主義」が特徴です。

 もっとも大きな従来型体制との違いは、相澤病院の救急医は、運び込まれた患者の初期診断のみに徹し、その後の処置は専門の医師にバトンタッチすることです。

 現在、多くの救急医療施設では、当直で勤務する医師が老若男女さまざまな症状の患者を診断し、必要に応じてその当直医が応急処置を行なっています。この場合、運び込まれた患者が当直医の専門分野外であった場合、適切な処置が行われない可能性が少なくありません。

 相澤病院では、20人の専門医が24時間待機しているため、より確実な処置や治療が実現できます。この確立された救急医療体制が相澤病院の最大の武器であり、地域住民に信頼される最大の要因となっています。

少しでも多くの患者を救うための徹底した体制

 すでに、一地方病院のレベルをはるかに超越した医療機器が備わった相澤病院。

 CT/MRIが3台ずつ設置されていることからも分かるように、昼夜問わず運び込まれる患者に対して万全の体制で臨むことができます。さらに、レントゲンなどを含む検査技師が24時間体制でスタンバイしているところも通常では考えられない徹底ぶりです。

 地方では異例の、在籍医師148人、看護師345人、ベッド数502床、さらにはドラマさながらの救急救命ヘリを活用する相澤病院だからこそ、1日に100人もの救急患者の受け入れを可能にしているのです。

祖父が開院した歴史ある病院が受けた試練

 しかし、今の相澤病院に至るまでにはさまざまな紆余曲折がありました。

 現理事、長相澤孝夫氏の祖父が、地域医療に徹するために1908年にスタートした相澤病院。病院の規模を一気に大きくしたのは父親ですが、1981年に他界し、相澤孝夫氏がその後を継ぎました。

 しかし、バトンが渡され、そこで目の当たりにした光景に相澤孝夫氏は目を疑ったのでした。

「一番感じたのはスタッフがバラバラに仕事をしていて患者のためではなく、自分たちが自分の思う通りの仕事をしていたから、それに合わせて仕事している」と、相澤氏は番組内でそのときの様子を率直にコメントしています。

 例えば、急患で運ばれた患者にCT検査が必要なのに、検査室に足を運ぶと、すでに予約している患者が優先的に検査されるため、急患にも関わらず後回しにされたりしていました。

 そのような病院本位の進め方は、当然患者には歓迎されず、徐々によくない噂が広まってきました。

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