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ストレスがなさすぎる楽な仕事は、幸福度を下げる

暮らし

適度なストレスは仕事の満足度を高める

「船荷のない船は不安定でまっすぐ進まない。一定量の心配や苦痛は、いつも、誰にでも必要である」

 このショーペンハウアーの名言は、楽すぎる仕事が体に悪い理由の一端を示しています。ストレスは必ずしも悪いものではなく、私たちが幸福に暮らすためには欠かせない要素だからです。

 たとえば、アメリカで軍事戦略のリサーチなどを行うランド研究所は、過去に出た大量のストレス研究をレビューしたうえで、「適度なストレス」がもたらすメリットを3つあげています。

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● 仕事の満足度を高める
● 会社へのコミットメントを改善する
● 離職率を低下させる

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 ほどほどのストレスであればなんの問題もないどころか、逆にあなたの幸福感を高めてくれる、というわけです。

ストレスと幸福

▲ストレスと幸福の相関関係を視覚化した図

 あまりに自分の能力を超えた仕事は不安につながり、あなたの健康を損ないます。逆になんの負荷もない仕事は退屈感を生み、やはり幸福度の低下をもたらします。

幸福度を左右するのは昇進や給料ではなく…

 いわば、ストレスが私たちにもたらすメリットとはバイオリンの弦のようなもので す。弦がピンと張りつめすぎれば甲高い音しか響かず、ゆるすぎれば濁った音しか鳴りません。良い音を奏でるには、適度な張りに調整する必要があります。

 要するに、組織内のランクが高い人ほど幸福なのは、ランクが低い人よりもストレスの張りを調整しやすいからです。

 当然ながら、会社で上の地位に就く人ほど仕事の裁量権が増え、作業を自由にコントロールできるようになるでしょう。仕事が難しいと思っても概ね自分の好きなペースで行えますし、無理をして嫌な人と付き合わねばならないリスクも減るはずです。

 ところが、地位が低い人は好きなように締め切りを動かせず、仕事の内容を自分で選ぶわけにもいきません。コントロールの範囲が狭いぶんだけストレスも調整できず、結果として幸福度は下がります。「昇進」といえばまずは給料アップのメリットが頭に浮かびますが、実際にあなたの幸福度を左右するのは裁量権のほうです。

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