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間違って届いた食品を完食…弁償する、しない?弁護士に聞く

― 残酷なマネーの新常識 ―

 先日、ヘトヘトになって帰宅すると、普段は滅多にフルーツが並ばない我が家の食卓になぜか瑞々しいラ・フランス(洋梨)が。どうやら配偶者が在宅中に受け取ったものであるようでしたが、疲れていたこともあり、特に誰から送られてきたか問いただすこともなく、無心でむさぼるように完食しました。

ラ・フランス

※画像はイメージです(以下同じ)

 しかし数日後、配送業者が来訪し、思わぬ冷や汗をかくことになります。曰く「あの荷物は前入居者宛のものだったので返してほしい」と。人一倍大雑把な性格をした配偶者が普段から送り状を一切確認せず、荷物を受け取るタイプであるとは知っていましたが、まさか他人の荷物だったとは……。

 これは弁償もやむなしと判断して「自分達宛の荷物と早とちりして食べてしまいました……」と正直に伝えてみると、配送業者は困惑した様子で苦笑。「確認します」とだけ言い残し、去って行きました。

 あれから数日経ったものの、いまだに音沙汰はなく、今後どうなるかはまだ不透明です。果たして罪に問われることになるのでしょうか。弁護士・公認会計士の資格を持つ後藤亜由夢さんに、この件も含め宅配にまつわる些細な質問をぶつけてみました。

他人宛と知っていたら詐欺罪の可能性も…

後藤亜由夢(以下後藤):「罪に問われるか」ということですが、自分宛の荷物と思って間違えて食べてしまったのであれば、罪に問われることはありません。どの犯罪もそうですが、罪に問うには、原則として「わかっててやった」という「故意」が必要になるためです。これを「故意責任の原則」といいます。(例外的に、交通事故や医療ミスなど、「過失」によっても罪に問われる犯罪もあります)

 荷物を配送業者から受け取る時に「自分宛の荷物ではない」と分かっていた場合に関しては、配送業者をだましたことによって、詐欺罪が成立する可能性があります。これは、「自分宛のものではない」と配送業者に告知する義務が生じうるためです。

「自分宛かどうか確認する必要」がある

宅配

――ちなみにこのケースは送り主が住所を間違えていたという話でしたが、配送業者が配送先を間違えた場合は、また状況が違ってくるものなのでしょうか?

後藤:送り主が住所を間違えたとしても、配送業者が配送先を間違えたとしても、結論に変わりがありません。もっとも自分宛の荷物と勘違いして「間違えて食べた」場合でも、配送業者や送り主から、民事上の損害賠償を請求される可能性があります。

 これは、社会通念上、「普通、自宅に荷物が送られてくる場合、自分宛かどうか確認する必要がある」義務があるといえ、これを怠ったため「過失」がある、ということによります。

 このケースではラ・フランスがさほど高価ではないと考えられるため、実際は損害賠償請求されることはないでしょう。対して、例えば高額な毛ガニやステーキなどを間違えて食べてしまった場合は、損害賠償が請求される余地がないとも言えません。

 しかし、この場合でも、送り主や配送業者が実際に間違えて送ってきているため、彼らにも過失があるといえ、間違えて食べてしまった人の損害賠償額が減額されることになります。これを「過失相殺」といいます。自分宛の荷物ではないこととわかって食べた場合は、「故意」であるため、この損害賠償がより認められやすくなります。

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