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バーレスクTOKYO「月商1億円」の舞台裏。盛り上げるコツを人気MCに聞く

ビジネス

腕組みした客には手拍子をしてもらう

クロト氏

年間1000ステージもこなすため、どうすればその場が盛り上がるか知り尽くしている

――MCをやる上で盛り上げるために必要なテクニックとか、外せないポイントってどこでしょう?

クロト:ショービジネスにおけるMCの使命は「どうやってお客様をオープンマインドさせるか」という1点にかかっていると思うんです。だからショーを盛り上げるためには、あの手この手でどんどん客席に仕掛けて行かないといけません。

 例えば、初めてバーレスクのショーを観覧するお客様の中には、ちょっと身構えてしまっている人もいたりします。そんな仏頂面のお客様でも内心は「ショーを楽しみたい」というのが本音なんです。なので場を暖めるために僕が最初にやるのはコール&レスポンス。MCの僕がステージから「イエーイ」と言ったら、お客様にも「イエーイ」と元気よく返してもらう。

 それでも腕組みしたままのお客様もいらっしゃるので、そういう時は手拍子をさせて腕組みを解いてもらいます。そうやって心と体をほぐしたあとは、最前列の人にピンポイントで「盛り上がってますか~!?」と僕のほうから目線をガンガン合わせてズバリ聞くんです。

――盛り上げるためのプレッシャーはまあまあ強めですね(笑)。

クロト:もちろん(笑)。どんどんギアを上げていかないと会場の空気は変えられません。そうやって僕とお客様とが応答を繰り返しているうちに、最後は会場全体に盛り上がりの輪が広がっているんですよ。

――なるほど。ところでクロトさんはどれくらいのペースでステージに上がっているんですか。

クロト:僕のお休みは基本週1回、それと正月の三が日だけです。それ以外は毎日ステージに立っているか、外部から依頼されたMCの仕事をしています。ちなみにバーレスクは1日3公演ありますから、ざっと見て年間1000ステージはやってますね。もう仕事というか、僕のライフワークそのもの(笑)。

長野行きのバスを何台も見送った

クロト氏

高速バス乗り場で自問自答した結果、六本木に戻ってきた

――かなりハードですよね。今まで辛かったこととか、辞めたいと思ったことはないんですか?

クロト:ある時、僕のミスが原因で上司と揉めてしまって、長野にある実家に帰ろうとしたことがありました。でも高速バスの乗り場で「このままショービジネスの世界で積み上げたものをすべて棒に振ってしまっていいのか!?」って自問自答していました。気がつくと乗車する予定だった長野行きのバスを何台も見送っている自分がいて……。

 そこまで追い込まれた時に「やっぱり僕のやりたいことはこれしかない。自分に素直になって戻ろう」と。辛いこともあるけど、本当に好きな仕事だから土壇場でも踏ん張れる。むしろこういう局面が自分自身の成長につながると気づかされました。

――本当に好きなことを仕事にすることができたら、途中で大きな波がやってきても乗り越えられるということですね。

クロト:だって人生の中で仕事が占める割合ってすごく大きいじゃないですか。若い人たちは待遇や給料ばかりに目がいくでしょうけど、自分が好きでもないことをずっと続けていたとしたら、それはすごく不自由な選択をしてると思う。だから自分の好きなこと、熱中できることを見つけたら、とことんやり切ってほしいです。

 少なくとも、僕はそうやって生きてきたから今の自分があると思っています。

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 次回、<ハリウッドスターも訪れた「六本木の本格ショーパブ」女性だらけ職場の舞台裏>に続く。

<取材・文/永田明輝>

気候変動が進む地球の環境問題どうにかして。そんな雑食系ライター

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