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メルカリが鹿島アントラーズの経営権取得。IT企業がプロスポーツに参入するワケ

ビジネス

野球、サッカー、バスケにもIT企業が参入

 プロ野球界では昭和の時代より現在まで、主に球団経営を行ってきたのは新聞社や鉄道、食品などの各種サービス業が多く、その構図は現在も大きくは変わっていない。それでもソフトバンク、楽天といったIT企業の新規参入に加え、2012年には株式会社ディー・エヌ・エーの参入により、「横浜DeNAベイスターズ」も新たに誕生し、新風を巻き起こしている。

 スマホゲーム会社が球団運営に名を連ねたことは当時、かなり話題を呼んだ。また、ディー・エヌ・エーは近年、バスケットボールB.LEAGUEの「川崎ブレイブサンダース」の経営権も得ている。

 昨年にはサイバーエージェントもサッカーJ2「町田ゼルビア」の株式の大半を取得し、経営権を握っている。サイバーエージェントはこの数年前には同じくJ2「東京ヴェルディ1969」の運営も行っており、スポーツクラブへの強い関心はファンの間では広く知れ渡っていた。

 ただ、今年の秋には町田ゼルビアのクラブ名の変更を一方的な形で発表し、サポーターの強い反発を受けるなど(後に保留を発表)、常に議論を巻き起こしていることも間違いない。

スポーツ界、プロ野球界新規参入のメリットとは

 企業にとってプロスポーツ運営に携わることは多大な広告効果が目的とされることが一般的だ。特に野球が文化として根付いている日本において、国内に12しかないNPBのプロ野球チームを持つことのメリットは計り知れない。創業間もないIT企業であれば尚更だ。

 日本のプロ野球では、本来であれば企業名NGのNHKを含むメディアにおいて、企業名(西武、ロッテ、ヤクルトなど)が呼称となることがほとんどだ。球団経営を行うことで、世間に対して、企業の存在やイメージが世の中に定着することが期待できる。

 1988年に阪急ブレーブスを買収したオリックスは、球界参入当初、類似の他企業と混同されることがあったものの、年を追うごとに知名度を高めていったという。

 2019年10月、ZOZOが日本初のPGA TOURトーナメントを主催したことも話題になった。タイガー・ウッズの優勝で幕を閉じた「ZOZOCHAMPIONSHIP」の中継はテレビ朝日系列が担当し、CSテレ朝チャンネル2/CSなどが4日間にわたって、計30時間以上も放送した。賞金額は総額約11億円にのぼるが、広告宣伝費として見れば非常に“コスパの良い”投資であったのではないだろうか。

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