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家飲みでプチ贅沢、伊藤ハム「シチューパイ」が20年売れ続ける秘訣とは?

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シチューパイが誕生した背景

 また、フランスで出される本格的なパイ包み焼きを一般家庭でも楽しめるように商品化した背景には並々ならぬものがあるようだ。

「黒トリュフのスープは、当時のフランス大統領だったヴァレリー・ジスカール・デスタンに捧げたスープと言われ、パイを開けた時に感じたトリュフの豊満な香りはとても鮮烈な印象を受けた。どうにかして、日本へ持ち帰って商品化できないか。試行錯誤を重ねながら商品開発を進めていき、2001年にシチューパイを世に出すことができた」

 電子レンジで簡単に調理するだけで、サクッと食感のパイ生地と、中から出てくるビーフシチューやクリームシチューといった味を楽しめるのが、人気の秘訣。なかには、パルメザンチーズやオリーブオイルを少々加えたりと、アレンジして食べる人もいるのだとか。

伊藤ハム

トマトとモッツァレラのポタージュパイ。パルメザンチーズをちょい足し

 また、「ビーフシチューなら赤ワイン、若鶏のクリームシチューパイなら白ワインなど、種類に応じてお酒との食べ合わせを決めるのもおすすめ」(廣瀧氏、以下同)とのこと。好みによっては、純米吟醸酒、ロゼなどのお酒も合うのかもしれない。

ロングセラーになったワケ

伊藤ハム

若鶏のクリームシチューパイ。北海道バターを使用し、味に深みを加えた

「時代のトレンドやニーズに合わせて、商品開発を続けている。その結果、季節に合わせた商品や朝食向けの商品など、ラインナップを増やすことができた」

 ロングセラーとなっている「ビーフシチュー」「若鶏のクリームシチューパイ」「海老・蟹・帆立香るポタージュパイ」といった定番のほか、毎年期間限定の商品を出すことにも力を入れているそうだ。2019年は、8月に「トマトとモッツァレラのポタージュパイ」、9月に「かぼちゃとマスカルポーネのポタージュパイ」と、新商品も立て続けに発売している。

 リピーターの声を聞き、ボリュームを増量したり、容器を改良したり、飽きのこないように品質を改良したりと企業努力の積み重ねが、20年間売れ続けるヒット商品になったのだろう。

<TEXT/古田島大介>

1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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