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「君たちはどう生きるか」漫画にはなかった小説版の深~いエピソード

コラム

 メガネの少年がこちらを睨むように見つめる表紙が印象的な『漫画 君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)。

君たちはどう生きるか

 昨年の8月に刊行され、発売半年で200万部を突破(同時刊行された新装版小説と合わせると250万部!)。テレビで絶賛され、雑誌の表紙を飾り、新聞が社説で取り上げるなど社会現象となっています。

 宮崎駿監督の新作のタイトルが『君たちはどう生きるかになる』とも発表され、まだまだブームは続きそう。とはいえ、今さら手に取るのは……とお思いの方に、今回、この大ベストセラーを3分で解説しちゃいます

 原作は編集者で評論家の吉野源三郎氏による児童小説で、刊行は1937年(昭和12年)。日中戦争のきっかけとなる盧溝橋事件の直後、日本が戦争へと突き進む真っただ中に世に送り出されました。

漫画版と岩波文庫版の違いは?

 物語の主人公は中学2年生のコペル君(本名:本田潤一)。コペルというあだ名は近所に住むおじさんの命名で、このおじさんとの交流を通じてコペル君が成長していく姿が描かれます。

 学校でのいじめや友達の貧しい暮らしなど、15歳のコペル君が見て聞いて感じたことに対し、おじさんがノートにしたためたメッセージが対となってひとつの章を構成。この「おじさんノート」がコペル君――読者を導いていきます。

 漫画版と岩波文庫版(1937年刊版)を読み比べてみると、漫画版は主要エピソードを抽出し丁寧に再構成しているという印象です。

 いちばん大きな違いはおじさんの設定で、原作は「大学を出てからまだ間もない法学士」なのに対し、漫画版は「元編集者」。「おじさんノート」をコペル君だけでなく多くの子どもたちに読んでもらいたいと出版にこぎつけるというエピソードも追加されていて、作者の吉野源三郎氏へのリスペクトを感じます。