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東大中退ラッパー、SNSに広がる香港デモ動画に何を思う?

コラム

“無限に広がっているように見えるだけ”のSNS

ダースレイダー:とはいえ、結局SNSっていうのは自分が見たい情報しか流れてきません。無限に広がっているように見えても、自分が見たいと思っているものが現れているだけです。

 Twitterの場合、トレンドってのが設定されていて。実は設定でトレンドの範囲を変えられる。国内であったりワールドワイドであったり、エリアによってトレンドは全然違います。

 つまり、世界でもっともバズっている話題と国内でもっともバズっている話題は全然違う。そのトレンドを切り替えることでわかることがあります。たまに切り替えてみると、所詮自分は身の回りのことしか見えていないっていう視点が得られる。

 SNSはその程度のものでしかないっていう付き合い方をしないと、自分が選んだソースから出てきたものこそが本当のことだと思い込みがち。

 例えばこの前の煽り運転の事件のとき、主犯の横にいた女性の身元に関するフェイクニュースが出回って、それが裁判沙汰になり、そのフェイクニュースを飛ばした人および、その情報をリツイートした人も範囲に入れるって言う話になっていて、これはすごくネットリテラシー的な議論として意味があるなと。

 熊本地震のときも、ライオンが逃げたっていうフェイクニュースが拡散されました。リツイートした人たちは良かれと思ってリツイートしてたのかもしれないけど、同時にその背景には「いいね」数やリツイート数ってのが高ければ高いほど優れている情報だという思い込みがあって。そのポイント稼ぎのほうが大事になって、実際の内容が二の次になっていることもあるんだと理解すれば、ブレーキになると思うんですね。

SNSと大手メディアの違い

報道

※画像はイメージです(以下、同じ)

ダースレイダー:新聞やテレビといった大手メディアはSNSより即時性は劣るわけだから、遅れた分ちゃんと考えて、情報を精査して報道すればいいんですけど、そこまで日本のメディアがやっているのかな? と疑問に思います。

 せっかく予算、調査能力、記者の数がいっぱいいるんだから、ちゃんとそのリソースを使って、ネットにあふれる即時性のある情報を編集して報道する義務ってのが大きいメディアにはあるはずなのに、それが後手に回ってる現状が良くない。

 大手メディアなら、中国と香港の問題で言えば、中国側は何を言っているのか、香港側はどういうことを言っているのかをちゃんとプロのエディターが編集して発信すべき。

 それが欠落して、ネットと一緒で「みんな、この話を聞きたいんでしょ」ってことだけを報道するっていうのは、ネットに対抗するものにならず、存在意義がなくなってしまうと思います。

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