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古舘佑太郎がハッとした「台本読んでる?」銀杏BOYZ峯田の言葉

もつ焼き屋をやろうと肉を捌いていた日々も

古舘

バンドで蓄えた貯金で豚の臓物を買った

――『日々ロック』ではロックバンド「The SALOVERS」として参加されたんですよね。その後、休止してソロになったとき、「もうバンドはやらない」と発言されていましたが、今は新たなバンド「2」(ツー)を結成して活動されています。一度ストップした期間があったことで、逆に見えてきたもの、変化したことはありますか?

古舘:そのときは本当にもう音楽はやらないつもりだったんです。本気でもつ焼き屋さんをやりたいと思っていて、「The SALOVERS」で蓄えた貯金で豚の臓物を買ってきて、毎日それを捌いて串に刺していました。無心で。

――もつ焼き屋さんをやりたかったというのは、本気の本気で? そこからどうまた音楽の道へ?

古舘:はい。本気でした。ただ、音楽から離れていたことで、逆に音楽を客観的に見られるようになったのは大きかったと思います。それと、当時は頑張ろうという気持ちがゼロで、底の底、海底まで降りちゃったんです。で、降り切ったときに、パッと上を見上げたら、なんだか楽しそうだなと思えたんです。落ちていくのは苦しいけれど、落ち切ったら上がっていくだけだから。

 19歳のときに「The SALOVERS」でデビューして、なかなか経験できないような経験をさせていただきました。でも上がっているときに、落ちたら怖いなと思って見ていた景色よりも、下から見上げた景色のほうが魅力的に思えた。もう1回頑張ろうではなく、さっき言った「破壊と再生」じゃないですが、新しいことができるという気持ちになれたんです。

――海底まで落ちていた時期というのは、ご家族からの応援は?

古舘:基本的に干渉し合わないので。僕がもつ焼き屋をやりたいと思っていたことも、知らないと思います。俳優業をやり始めたときも、宣言も何もしていませんし。ただ姉ちゃんは驚いてましたし、僕の芝居を真似していじってきたりします(笑)。

先輩・峯田からの言葉が後押しに

いちごの唄

© 2019「いちごの唄」製作委員会

――現在、音楽に加えて、俳優業も順調ですが、俳優デビューして以降、影響を受けた先輩や言葉などがあれば教えてください。

古舘:いっぱいありますが、今回の峯田さんもそのひとつです。コウタになれなくて悩んでいたときに、石橋さんと本読みをして迷いがなくなったと言いましたが、最終的に自信を持たせてくれたのは峯田さんでした。撮影で一緒になったとき、「銀杏BOYZの曲がテーマだとか、そういうのは関係ないから。俺のことも関係ないし、佑太郎くんがやりたいようにやるのが一番いいんだから。近づける必要はない」と言ってくれました。

――峯田さんと、音楽と俳優の両方をやることに関しての話は?

古舘:したこともあります。峯田さんは、「どっちもやるというのは大変だけれど、お前にはずっと続けていって欲しい」と言ってくれています。あ、でも以前、朝ドラの「ひよっこ」でご一緒したときに、「ちゃんと台本読んでる?」と注意されたこともありました。

――注意ですか? なぜ?

古舘:単純に僕の演技がやばかったんじゃないですかね(苦笑)。「ちゃんと台本を読んでいたらそんなふうにはならない」と叱られました。でもめちゃくちゃ愛があって言ってくれているので、すごく有難いと思っています。

――最後に、本編で好きなシーンを教えてください。

古舘:好きというか、芝居をしていてビックリしたシーンがありました。僕は泣きの芝居があまり得意じゃないんですけど、あーちゃんが、大声で自分の気持ちを吐き出すシーンで、聞いていたら自然と涙が出てきちゃったんです。自分ですごくビックリしました。

 石橋さんは僕にとってあーちゃんなので、撮影が終わってからだいぶ経って試写で会ったときにも、その瞬間に僕はコウタになっちゃいました。たどたどしくなって、目も合わせられませんでした(笑)。

<取材・文・撮影/望月ふみ>

ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異

【公開情報】
いちごの唄』は新宿ピカデリーほか全国公開中

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