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優しかった本部長はどこへ?会社を「人柄」で選んだ新卒社員の後悔

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「御社が第一志望の理由は、人柄の良さに惹かれたからです!」。就職活動で志望動機を語るとき、競合他社との差別化をするためにこのような文言を使った人も多いでしょう。

就活

※画像はイメージです(以下同じ)

 もちろん、本当に社員の人柄に惹かれて入社を決意した人もいると思いますが、就職活動で会う面接官やリクルーターは、その企業のほんの一部。しかもリクルーターは、人材の囲い込みのために人柄のよい人物を演じていることはよくある話です。

 今回はそんな「人柄」で会社を選び、後悔している若手社員。都内IT企業に営業職として勤める入社2年目の大田聖さん(仮名・24歳)に話を聞きました。

入社のきっかけは社員との食事会

 有名私立大学出身ということもあり就職活動を順調に進め、当時は複数社から内定をもらっていたそうです。

「明確にやりたい仕事というものがなかったので、志望する業界も絞っていませんでしたが、周りの友人たちの就活意識が高く、彼らに乗っかってESや面接対策をしていたら、たまたまうまくいきました。もともとバーテンダーのアルバイトをしていたこともあって、人と話すことに慣れていたのもよかったと思います。内定を複数得た後は、どの会社にするかとても悩んでいて、正直どこも猛烈に入りたいわけではありませんでした」

 そんなときに、社会人の先輩から「うちも受けてみなよ」と誘われて受けたのが、大田さんが勤める企業でした。

「仲のいい先輩だったので、そこを最後に受けることにしたんです。その企業はIT系のベンチャーで、ここ数年で急成長を果たし、たまにニュースでも取り上げられていたので悪くはないなと思っていました。先輩の推薦ということもあり、いきなり社長や営業の本部長、部長の方と会食をすることになりました」

六本木ヒルズ、私服で食事会

食事

 場所は六本木ヒルズにある高そうなイタリアンで、会社のみなさんは私服だったそうです。

「最初、彼らから会社の方向性や業務内容を聞かされ、僕は就職活動の状況について話しました。始めはかしこまっていたのですが、彼らが作り出すアットホームで気さくな雰囲気に飲まれ、徐々に打ち解けていったのを覚えています。

 ほとんど仕事と関係ない世間話でしたが、先方も自分を気に入ってくれた様子で、その場で『うちに来ないか』と誘いを受けました。ほかの企業では普通の面接しか経験していなかったので、素の自分で話ができたのがとても楽しく、この会社なら働きたいなと思って、すぐに入社を決意したんです」

 堅苦しい面接で優等生を演じていた自分よりも、「アットホームな食事会で素の自分を評価してくれたのが嬉しかった」と語る、大田さん。しかし、入社後に彼らの恐ろしさを実感することになったのだとか。

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