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日経「内定辞退」騒動から考える、驚きの“人事・学生・人材会社”の本音

学び

 ちょっと前に日経産業新聞の「内定辞退の正しい伝え方、『直接会って、まず感謝』を」(5月15日)が話題になりました。

内定

※画像はイメージです(以下同じ)

 リクルートで営業経験もある、学習院大学キャリアセンター担当事務長の男性が「自分を選んでくれた企業に感謝の心を持ちましょう」と述べ、

「メールの送りっぱなしや電話で完結してはダメ。必ずその企業に足を運ぶことが重要」
「内定をくれたことへの感謝を、いの一番に伝えること」
「そもそも入社する可能性がないなら最初から内定を受諾してはいけない」

 などと、直接会って「内定をくれたことへの感謝」の意を伝えることの大切さを説いていて、これに対し、いろいろな意見が飛び交っています。

 今回は、筆者が前職で人事をしていた経験と、現在、人材紹介会社でキャリア面談をしている経験から持論を書きたいなと思います。

人事目線で考える内定辞退に対する持論

 結論として、内定辞退をすることに対してそこまで気を使う必要はありません。内定辞退で会社に来てもらう必要はないのです。なぜなら、辞退する気持ちが変わらないなら逆にあまり時間を取られたくないというのが、多くの人事の本音だからです。

① 採用計画を立てているので内定辞退は想定の範囲内

 人事時代の私は毎年、新卒採用の計画を立てていましたが、採用計画を立てるときに内定辞退の可能性はすでに考えています。また、面接をしていくなかで、「内定を出しても入社しないだろうな」という人に対してもある程度、見通しを立てて動いていました。

 つまり、内定辞退は想定の範囲内のことが多く、内定辞退されたからといって、求職者に対して怒りの感情はないというのが実際の採用の現場です。

② 来社するのは、気がないのにデートに誘うのと同じ

美女 会議

 先程も述べましたが、内定辞退をすることが決まっているのに、相手の時間をあまり取ってしまうのは良くありません。

 内定辞退のためにわざわざ会社に来ると、採用担当者は「もしかしたら内定辞退を止められるかもしれない」と考え、「できれば(心変わりして)こちらに来てほしい」と、アプローチします。それなのに、その会社に行く気が全くない……というのは完全に時間のムダです。

 まるで、付き合う気がないのに何度も食事に誘ってくる女の子(逆もまた然り)みたいなものです。ならば、メールで今まで選考にお時間を使ってもらったことに関する感謝と、内定辞退する理由を添えて、簡易的にお断りするほうが、よっぽど相手のことを考えた行為になるのではないかと思います。

③ どこかで仕事で出会う可能性は考えたほうがいい

 内定辞退をするのに、わざわざ丁寧に訪問する必要はないと思いますが、内定辞退をする人は、だいたい同じ業界の別の企業に入社することが多いと感じます。私がいる人材業界に限らず、どこの業界も、大学生のみなさんが思っているより狭く、仕事をしていると同業他社の人に出会う可能性があります。

 なので、内定辞退した会社の人とも将来、仕事上で付き合う可能性があることを考えると、やり取りはメールでも構わないと思いますが、できるだけ相手に嫌な思いをさせない断り方に気をつけるべきだとは思います。

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