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キー局100万円、Vシネマ30万円…。現役脚本家に聞く「シゴトとお金」

コラム

苦難の日々も「シナリオコンクール」で最終選考に

「脚本家の修行中は食べられないので、プログラミング経験を活かして知り合いの会社で働いたりしていました。

 あと、売れない俳優さんと組んでお互いの名刺代わりになるように自主制作のDVDを作ったりもしましたね」

 なにをしても結果の出ない日々。しかし、そんな状況に転機が訪れます。某テレビ局のシナリオコンクールで最終選考まで進んだのです。

「賞は獲れませんでしたが、最終選考まで残ったメンバーは局の勉強会に参加できるんです。要するにプロデューサーに顔を覚えてもらう場ですね。直接的ではないですけど、そこでのつながりもあり、今の制作会社に所属できることになりました」

ドラマ1本の単価は? 厳しい脚本家の世界

お金

 制作会社に所属して意気揚々とスタートすると思いきや、なかなか仕事には結びつきません。最初の1年間はシナリオを書けず、プロット(あらすじ)を提出するのみ。

 別のライターの打ち合わせに同席し、プロデューサーと名刺交換まではいくものの、なかなかチャンスは訪れませんでした。

プロットは1本の単価が3万~5万円。たくさん書いて認められたら『1本くらい書いてみる?』とシナリオを書かせてもらえるようになります。

 キー局のドラマは1時間もので1本100万円。ただ、僕の場合は会社から引かれて手元に残るのは60万円です。ローカル局の30分ドラマは1本5万円、Vシネマだと30万円とか」

華やかに見えて厳しい「実写ドラマの世界」

 実家のため生活苦はないものの、「いまだに知り合いの仕事を手伝いつつやってる感じ」と語る中崎さん。しかし、収入面のほかにも脚本家の悩みごとは多いそうです。

「ドラマの打ち合わせだと、メインの脚本家と監督がヘソを曲げたら終わっちゃう。だから、スタッフ陣が妙なもちあげ方をして脚本の方向性を見失うことがあるんです。

 でも、実際にシナリオ書いてるのは自分だったりして。そういうときは、どこをどう修正すればいいのか本気で分からなくなりますね」

 華のある世界に思えますが、いろいろと厳しい実写ドラマの世界……。脚光を浴びるのは本当に一握りということでしょう。

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