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人事部がほしがる学生。AI進化の時代に求められる人材とは?

学び

自分以外の「他力」を活用できるか?

 もうひとつ忘れがちな力で大切な能力があります。それが「影響力」です。先に紹介した「思考力」と「行動力」は自力です。自力には限界があります。ですから、自分にない力を持ち合わせている他人の力を、いかにうまく活用できるかどうかが3つ目に大切な能力なのです。

 他力と言っても、自分よりも優れた他人の力を自分の影響力を与えて活用できなければ意味がありません。他力を活用できる人はある力が長けています。それは「チャンスを降らせる力」です。

 チャンスは世の中にたくさんありますし、チャンスが欲しいと願っている人も多くいます。しかし、目の前にチャンスが降る人と降らない人がいます。両者の違いは何でしょうか。

 基本的にチャンスは、自分よりも豊富な経験・アイディア・人脈・お金を持っている目上の人から降ってくることが殆どです。では皆さんが仮に目上の人だったらどんな人にチャンスを与えたいと思うか想像してみてください。

 あなたなら、どういう人にだったら大切な人脈を紹介し、自分が貯めたお金を渡し、自分が得てきたアイディアを教え、相手がプラスになる環境や経験をプレゼントするでしょうか。

 ここで大切なことが、あなたがチャンスをあげたいと思える人のような生き方を、普段からできているかを見つめてみることです。

 私が過去、チャンスを与えてきた後輩の特徴は「先取り人間」です。チャンスが生まれる前から準備ができているのです。チャンスが現れ、見えてきてから行動するのでは遅いのです。未来を予測して今の自分の役割や期待を超えて、勉強したり、練習をしたり、業務範囲を拡張していると、いざという時に指名されるのです。

 周囲から選ばれない人は、自身のキャリアのステージを上げることは難しいものです。自分が上司や経営者だったら、自分を指名しチャンスをあげたいと思える人は、きっと立場の違う人の求めていることを理解し、相手の望みを自分の成長を通して叶えようとしている人だと思います。

 あなたになら力を貸してもいい。そう周囲が思うのは、日々懸命に仕事に取り組み、言行一致の信頼たる行動があるからなのです。ですから「影響力」は突然生まれるものでもないのです。

選ぶ時代から選ばれる時代に変わる

採用

 今の採用市場は超・売り手市場と呼ばれ、人手不足が社会問題になっています。しかし、これから少子高齢化を背景に、ますますIT化が進み、人の役割は仕事の上流工程に限定されるようになります。

 そうなれば、現場のオペレーティング業務をする人材は不要となり、雇用人数も減少していきます。これまで日本の学校教育のカリキュラムも知識偏重になっていますから改革が求められます。

「創造性」と「革新性」を備えた「思考力」「行動力」「影響力」の3つの能力の高い人材の育成は学校だけに任せるのではなく、企業側としても取り組む必要があります。

 売り手市場の中、働き方改革が叫ばれ、昔に比べると労働者目線の働きやすい環境があります。しかし、そういった環境に甘んじることなく、将来を見据え、自分の成長やキャリアを考え、自らの意思で挑戦をしていかなければならない時代とも言えます。

 あなた自身が、顧客から、仲間から、会社から、社会から選ばれ続けるように今一度、これから磨く必要のある能力や、必要な経験を書き出してみることをオススメします。

<TEXT/近藤悦康>

株式会社Legaseed 代表取締役。1979年岡山県生まれ。「はたらくを、しあわせに」を理念に、新卒採用支援を中心とした人事コンサルティング事業を手掛けるLegaseedを創業。「クローズアップ現代」「ワールドビジネスサテライト」などTV番組にも出演。著書に『伸びてる会社がやっている「新卒」を「即戦力化」する方法』『内定辞退ゼロ』などがある

株式会社Legaseed:http://www.legaseed.co.jp
Facebook:https://www.facebook.com/Legaseed/

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