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なぜ女性はおしゃれをするのか?平成生まれのオタク女子「劇団雌猫」と考える

コラム

 平成元年生まれのオタク4人で結成された「劇団雌猫」による伝説の同人誌『悪友』。浪費をテーマに取り上げた『悪友Vol.1 浪費』は、SNSを中心に大きな話題になり、冬コミや通信販売で完売続出し、『浪費図鑑』として書籍化されるなど注目を集めている。

だから私はメイクする

劇団雌猫『だから私はメイクする』(柏書房)

 そんな劇団雌猫の同人誌第2弾である『悪友DX 美意識』をバージョンアップした『だから私はメイクする 悪友たちの美意識調査』(柏書房)が上梓された。前作同様、劇団雌猫が編集をつとめ、「コスメアカウントを運営する女」「デパートの販売員だった女」「育乳にいそしむ女」など、さまざまな女性たちが匿名で自らの“美意識”について執筆している。

 現在3刷と大好評の同書刊行を記念して、劇団雌猫メンバーの、かんさん、ユッケさんのお二人に話を聞いた。

出てくるのは創作ではなく実在する知り合い

――同人誌『悪友』が人気の劇団雌猫は、かんさん、ユッケさん、ひらりささん、もぐもぐさん、の平成生まれのオタク4人から成るユニットです。今日はかんさんとユッケさんに来ていただきました。簡単な自己紹介と何にハマっているのかを教えてください。

かん:IT企業で働いています。K-POPグループのSEVENTEENと宝塚歌劇団の芹香斗亜さんを推しています。

ユッケ:私はフリーランスで編集やライター業をしています。ハマっているのはジャニーズJr.ですが、基本的に若手俳優などのイケメンな男の子が好きです。

――『悪友』は4人が原稿を書くわけではなく、他の方が寄稿をしたり、数百人に取ったアンケート結果を発表したりする形式ですよね。それはなぜでしょうか。

かん:『悪友』第一号の『悪友vol.1浪費』が生まれたのは4人での飲み会の時に貯金がないことを暴露しあったことがきっかけでした。Twitterで豪快にお金を使っている周囲の友達も、実は貯金がないんじゃないか……実名だと書きにくいだろうから、匿名で聞いてみようと思ったんです。創作だと思われている人もいるようですが、私たちの実在する知り合いばかりです。

ユッケ:私たち自身が直接なにか言いたいことはあまりないんです。どっちかというと、4人とも飲み友達やオタク友達が多いタイプで、「友達の○○ちゃんがこんな面白い子で~」と面白い友達の話を飲み会でしていました。だから『悪友』でも、そんな彼女たちの面白さが出るようにしています。

――寄稿者を選ぶ基準はありますか?

かん:なるべくネガティブな話にならないように気をつけています。というのも、これまでオタク女は自虐の文脈で語られることが多かったからです。オタクはモテないとか、お金を使いすぎて借金まみれだとか。でも私たちの周りのオタクは全然そんなことありません。それでも、いざ実名で書くとなると、謙遜のように自虐してしまうんです。だからこそ、匿名で原稿を書いてもらいました。

ユッケ:誰しも自虐の気持ちはあると思いますし、だからこそ自虐するコンテンツが流行っているんでしょうね。でも「お金使いすぎちゃうけれど、毎日楽しいよね」「彼氏できて楽しいけど、オタクもやめられない」という子も多いですし、そうした面に私たちは光を当てたいんです。

著者自ら分析する「悪友」が注目された理由

――『悪友』がこれだけ注目されたのはなぜだと思いますか?

かん:この本には、「すごいこと」は書かれていなくて、普段みんなが言えないだけで胸に秘めている話です。誰もが「私にはこれが当てはまる」と思ってもらえるようなところが良かったと思います。

ユッケ:あとは、私以外の3人のSNSの発信がうまい(笑)。私は出版社で仕事をすることもあるのですが、劇団雌猫のSNSの使い方を見ていると、従来の出版社のプロモーション方法とはまったくことなるやり方で宣伝をしていて面白いです。

ユッケ:『悪友』はネットをやっている同世代が明確にターゲットだから、Twitterでの宣伝が有効だったのだと思っています。

かん:いまや、「とにかく広告を出す」という時代じゃなくなっていますよね。

――『悪友』は書籍化されましたが、影響はありました?

かん:名刺代わりになりました。私はライターではないので、直接的に仕事につながるわけではないですが、この人オタクかも……と思ったら、この本の話をするとすごく盛り上がれるんです。

――そうしてまた新たな「悪友」が生まれるんですね。

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