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理系学生は就活が疎かになりがち!? 現役東大生が「就活サービス」で起業した理由

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 新卒一括採用の是非が議論されることが増えてきた昨今、2018年9月上旬には経団連の中西宏明会長は大手企業の採用面接の解禁日などを定めた「就活ルール」の廃止を表明。今後については21年春入社組については政府主導で現行ルールの遵守を企業に要請し、22年春入社組以降は何らかのルールを検討していく予定になっている。

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※画像はイメージです(以下同じ)

 今年も空前の売り手市場と言われ、企業はもちろんのこと、就活ポータルサイトを運営する大手各社もこぞって学生集めに注力している。そんななか、2017年2月に「LabBase(ラボベース)」という、理系学生に特化したスカウト型就活サービスをリリースしたベンチャー企業をご存知だろうか。

 株式会社POL(ポル)は、現役の東大生の加茂倫明さん(代表取締役CEO)が2016年9月に設立。今回はそんなミレニアル世代の東大生起業家に、同社の事業内容や理系学生の就活の現状、東大生の起業意識などついて聞いた。

24歳東大生起業家の素顔とは

――工学部システム創成学科に在学中と伺ったのですが、今おいくつですか?

加茂倫明(以下、加茂):24歳です。休学と留年を2回しているので、ちょっと時空が歪んでいて(笑)。2回目の2年生のときにPOLを設立して、現在は3年生です。

――やはり東大は起業する学生が多いのですか?

加茂:少しずつではありますが、増えてきていると思います。自分が2年生のときに所属していたクラスでは、東大の中でも異例ではありますが、僕含めて3人が起業していました。身近に起業した人がいると「自分でもできるんじゃないか」と感じて、行動に移しやすくなる気はします。

 とはいえ、まだまだ母数からいうと起業する人は少ないです。大半の人は大手思考で、人気な有名企業に行きたがっています。もちろん全員起業しろとは思いませんが、学生のうちに1回起業してみて、就職以外の選択肢をより多くの人に知ってもらいたいのはありますね。

起業は困っていた先輩を助けるため

加茂倫明

加茂倫明さん「理系学生は研究が忙しくて就活に手が回らない」

――理系学生に特化した、スカウト型就活サービス「LabBase」とは、具体的にどのようなサービスなのでしょうか。

加茂:どこの研究室にどういう理系学生がいるか、研究概要やプログラミンスキル、就職先に求めることなど、企業側が条件を絞り込んで検索でき、気になった学生にいきなりスカウトメッセージを送れるというのがメインサービスになります。求人情報も掲載しているので学生側が応募することもできます。

――理系学生に特化したサービスを立ち上げた理由を教えてください。

加茂:理系の先輩が「研究が忙しすぎて就活まで手がまわらない」とよく言っていて、みな教授や研究室の推薦で就職しようとしていたんです。彼らが既存の選択肢の中で就職先を決めてしまうのはもったいないし、そんな現状を変えたいというのがきっかけです。

 本質的なキャリアの意思決定に正解はないと思っていますが、できるだけ広い選択肢の中から自分が本質的に何をやりたいのか、どこがいちばん幸せになれるのかを、自分の頭で考えて選ぶというプロセスが大事だと思います。

就活市場に出てこない理系学生を集めた方法

――研究が忙しくて就活が疎かになりがちというのは、理系学生全般にいえる就活の現状なのですか?

加茂:もちろん専攻や研究室にもよります。ただ、数時間おきに実験装置の確認が必要で研究室から離れられない人や、研究室にいないと「なんでおらんねん」という空気になるからなんとなく就活しづらいという人も多いと思います。

 また、今は売り手市場なので、上位校の理系学生には「なんとかなる」感が漂っています。特に理系人材は引く手が数多なので、採用に苦労する企業も少なくありません。

――「LabBase」は約8000人の上位校の学生がユーザー登録しているそうですが、理系学生をどのように集めたのですか?

加茂:全国にいる約100人の私たちの学生メンバーが、毎月1000研究室を訪問して、オフラインでユーザーを集めています。そのため、みなさん意欲的で、プロフィールもぎっしり埋めています。スカウトの返信率も、一般的な就活サイトの平均が約7%なのに対し、我々は約25%と高い数値になっています。中には、返信率が70%に上る企業もあり、企業と学生双方のニーズの高さを感じます。

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