【独占インタビュー】新世代アーティストimaseのSNS戦略とは?大ヒットを生んだ分析力と武器

音楽活動を始めてわずか1年でメジャーデビューを果たし、世界的なヒット曲「NIGHT DANCER」で注目を集めた新世代アーティスト・imaseさん。先日、2026年開校予定の音楽専門校「バンタンミュージックアカデミー」で特別授業を行いました。アーティストや音楽業界を目指す若者たちの前で、imaseさんは音楽活動の軌跡を振り返り、実際の楽曲制作のプロセスを披露。参加者たちの目を釘付けにしていました。そんなimaseさんの成功の裏にある、独自のSNS戦略や客観的な自己分析、そして大切にしている価値観について、話を聞きました。
SNSは投稿しながらスキルを身につけた

――TikTokで音楽投稿を始めてバイラルヒットが生まれたことが、いまの成功につながったと思いますが、音楽やSNSマーケティングのスキルはどのように身につけましたか?
imase:本当に日々投稿しながらという感じです。初期の頃は、今よく投稿しているフォーマットのようなものはありませんでした。最初のうちは特に顔出しはしていなかったんですが、それでも、どうやったら楽曲が伸びるのか考えていました。オーディション企画があって、そのために動画を作ってSNSに投稿して参加しなくちゃいけなかったんです。そのときにドラムパッドを叩きながら弾き語る動画を作って最初にバズりました。今までの人たちと被らないような映像、ちょっと見て「何じゃこれ?」と思うような、一個フックになるポイントを動画の中で作ることは、最初の頃から意識していました。
――SNSを活用して他のアーティストと差別化するために、どのような戦略や狙いがありましたか?
imase:自分の楽曲での違いにもなると思うんですけど、自分のファルセットは他の人とはかぶらない要素ですし、その部分を活かした楽曲制作は今も意識していますね。
投稿への反響で自分の魅力を分析
――自分の魅力を知るために、どのような自己分析を行ったのでしょうか?
imase:ファルセットを多く使った楽曲を投稿していたら、ありがたいことに反響があったので、そういった意味では、「自分のこれって他の人と違うかな」とか、「これっていいのかな、面白いのかな」と思ったものを投稿して、反響をいただくことによって分析してきたという感じです。
――自分のやりたいことと、人から求められる「自分らしさ」のバランスをどのように取っていますか?
imase:まず一回、自分の作りたいものに思い切り寄せてみて、そこからグラデーションをつける加減をしています。アレンジや構成の細かい部分にこっそりトレンドの要素が入っていると、周りには気づかれないので、ちょっとずつその時々のトレンドを入れたりしています。
――バズを継続させるためのモチベーションは何ですか?
imase:難しいですよね。でも、自分は割と制作が楽しいタイプなので、そういった意味ではシンプルに作っているときの楽しさを見出しています。シンプルにゲームしていて楽しいのと同じような感じなんです。だから普通にリリースとか関係なしで曲を作ったりもします。曲作りは趣味でもあるし、仕事でもあるんです。
音楽は作りたいから作る

――音楽制作を始めた頃と現在で、制作プロセスやアプローチに変化はありますか?
imase:制作する上で、以前よりジャンルも知れるようになったし、どういう曲かをちゃんと言語化できるようになったので、そういった意味では誰かと一緒に作業するときに言葉で伝えやすくなりました。意外に制作スタイルは昔からそんなに変わってはいなくて、曲も割とサビから作ることが多いです。キャッチーなメロディー、キャッチーなものをずっと作り続けていて、根本の部分はあまり変わってないのかもしれないなと思います。
――ご自身の音楽において、最も大切にしているテーマやメッセージは何ですか?
imase:そうですね。自分の曲でみんながこうなってほしいっていう思いより、その時々に作りたい要素をいろいろ入れたり、作りたいから作るタイプではあるので、みんなも気軽に作ってほしいなっていうのはあるかもしれないですね。
もちろん聴くだけでもいいと思うんですけど、作るとより楽しさが増えるとも思います。今の年代なりのトレンドがあることが、良さであり面白さだと思うので、もっと気軽に曲を作ってもいいのかなと思います。作ることで、またさらに聴く楽しさも大きくなるんじゃないかと思います。
――今後、どのSNSやプラットフォームが伸びていくと考えていますか?
imase:難しいですね。圧倒的に伸びるプラットフォームはあまりないかもしれませんが、新しいプラットフォームが出てくる可能性はあると思います。個人的にはInstagramのリールをよく見ています。海外の人がDIY的な音楽を作っていることが多く、それを気軽に見られるのが魅力ですね。「これ、かっこいいな」と思ったらフォローしたりしています。他のプラットフォームも大切に使っていますが、特にInstagramはお気に入りです。
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「好きだから作る」を原点に進化を続けるimaseさん。次に生まれる音楽が、どんな驚きや感動をくれるのか——これからも目が離せません。