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物足りない毎日を変えるカギは「えり好みしない」【パラレルキャリアの専門家に聞く幸福論】

有名な経営学者が提唱した「パラレルキャリア」を知っているだろうか。パラレルとは「平行」を意味する英単語で、パラレルキャリアとは、自分の仕事(本業)に平行して何かを頑張る生き方を意味する。

「キャリア」という言葉から、副業か何かを連想してしまうかもしれない。しかし、パラレルキャリアにおいて掛け持つ何かは、ボランティア活動でも地域の祭りへの参加でもなんでも構わない。

この複数の役割を掛け持ちする「パラレルキャリア」が実は、物足りない毎日に刺激を与え、幸せをもたらしてくれるカギになるらしい。

今回は、一般社団法人パラレルキャリアマネジメント協会の理事であり、ご自身もパラレルキャリアを行う大村信夫さんに、パラレルキャリアの幸福論をライターの一ノ瀬聡子が聞いた。

第2の活動に収入の有無は関係ない

パラレルキャリアとはそもそも、経営学者のピーター・ファーディナンド・ドラッカーによって提唱された概念だ。

端的に言えば、本業を持ちながら第2の活動をする。第2の活動に関して言えば、収入の有無は関係ない。他の企業に所属して働いたり、副業したり、自営業をしたり、ボランティア活動に取り組んだりとさまざまだ。

コミュニティ活動でもいいし、それこそ、地域の祭りに没頭してもいい。

一般社団法人パラレルキャリアマネジメント協会の理事大村さんは現在、家電メーカーの正社員として勤務しながらパラレルキャリアを実践している。

例えば「片付けパパ」という名前で講演や企業研修に登壇したり、NPO法人のアドバイザーなどを行ったり。国家資格のキャリアコンサルタントでもあるためキャリアカウンセリングも行っている。

平日の日中は一方で、会社員をしているため、その他の活動は、平日の朝・夜や、週末などに行っているという。時間にして、月に20時間ほどを会社員以外の活動に充てている。

行動すれば、発見やチャンスが舞い込んでくる

どうして、このパラレルキャリアを大村さんは若者にも勧めるのか。

「さまざまな経験、多くのキャリアは、人生を充実させるための手段として有効だと思います。『計画的偶発性理論』というキャリア理論があります。

どんどん行動すれば思い掛けない発見やチャンスが舞い込んでくるという考え方です。

もちろん、前のめりでやりすぎると疲れてしまいますので、肩の力を抜く、リラックスも大事ですが、やりたいことはぜひ、行動に移しましょう」(大村さん)

なんらかの誘いやチャンスが到来した時「好みじゃない」「興味ない」と壁をつくってしまっている人は居ないだろうか。

しかし、えり好みせずに何でもやってみれば、自分の人生の延長線上では決して得られなかった思い掛けない発見やチャンスが到来し、その非日常の連続によって、人生が充実していくという理屈だ。

「心構えとして、楽しんでください。必ずしも稼ぎを目的としなくても構いません。たくさんの人から感謝をもらうようにしましょう。

お金とは『ありがとう』が形を変えたものです。パラレルキャリアを通じて、充実した日々を送れるように応援しています」(大村さん)

思考より試行

もし、会社員としてパラレルキャリアを考えるなら、どこから始めたらいいのか。

「もちろん、いろいろな観点での軸足があると思います。

稼ぎが一番の目的であれば、ご自身のスキルや時間を提供して収入を得られるパートタイムやアルバイトなどを、時間や条件に応じて選択するといいと思います。

スキルや経験を貪欲に身に付けようと思えば、パートタイムやアルバイトで関わる業界の慣習やオペレーションの工夫、どういう収益構造をしているかなどを学べます。それらの学びは将来、本業のキャリアに何らかの形で生かせるかもしれません。

実は『学び』もパラレルキャリアの1つです。MBA(経営学修士)をいきなり取ろうと思っても難しいと思いますが、大学のオープン講座などに通ってみてもいいでしょう。

オンラインの講座も今は、かなり増えました。地方在住の方や移動時間が捻出(ねんしゅつ)できない方も受講しやすくなっています。

やりたいことがあり、起業したいことがある場合には、会社員をしながらお試し的に起業してみてはいかがでしょうか。

『思考より試行』という言葉があります。実際にやってみて身に付くつくことの方が多いからです。お金を払わずに勉強させてもらっていると考えればいいと思います

しかし、パラレルキャリアにおける収入は本来、あくまでも副次的な話です。

やってみたい冒険的な活動があるのなら、無償であっても、稼げなくてもまずは、やってみてはどうでしょうか」(大村さん)

パラレルキャリアの言葉から、副業的な意味合いをイメージしてしまう人も多い。しかし、繰り返すが、パラレルキャリアにとって必ずしもお金は重要ではない。

えり好みせず、チャンスや誘いがあれば受け入れ、自由な発想でチャレンジし、楽しむ姿勢を大事にしているうち、物足りない毎日に刺激を与えてくれる、幸せを感じさせてくれる何かに出合えるはずだ。

パラレルキャリアの考え方に共感する人や、何かチャレンジしたい夢がある人はぜひ、チャレンジしてみよう。

[取材協力]

大村 信夫氏
国家資格キャリアコンサルタント。家電メーカーに勤務しながら「片付けパパ」「パラレルキャリア研究家」として活動。モノの整理を通じて、人間関係やキャリアなど人生全体に好循環が生まれるメソッドを開発。日本全国を講演で東奔西走する。受講者は15,000人超。著書・メディア取材多数。
https://an-life.jp/portfolio/10
Xアカウント:@katazuke88

webメディアのライター。ビジネスハックやスキルなどを専門家に聞くのが楽しくて仕方がない。読みやすくわかりやすい文章を心がけている

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