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台湾で大規模軍事演習 「台湾有事」が起こると日本人の日常生活への影響は?

学び

「台湾有事」日本への影響は?

インターネットやSNSで世界中の情報がリアルタイムで手に入る時代、オンライン会議で日本はもちろん、海外のどこにいてもコミュニケーションできるのが当たり前となった。ビジネスパーソンなら海外のビジネス関係のニュースも押さえておきたい。

そこで、各国の情勢に精通しているピエール・パパンさんに、最近の台湾情勢について解説してもらった(以下、ピエール・パパンさんの寄稿)。

台湾で年に一度の大規模軍事演習「漢光演習」実施

中台関係が冷え込む中、台湾では年に一度の大規模軍事演習「漢光演習」が2024年7月22日から25日まで行われ、5月に総統に就任した頼清徳氏が現場を初めて視察した。今回の訓練は中国軍による侵攻を想定し、実戦能力の向上を目指す内容になっており、夜間の訓練も重点的に行われた。

今回の訓練で頼総統は、台湾市民に安心感を与え、台湾を防衛する決意を世界に示したと主張しているが、中国は緊張感を煽るだけで台湾独立を図る企みは失敗すると反発した。頼政権になっても、中国は台湾に対する軍事的圧力をかけ続けているが、多くの専門家は、将来的にいつかは台湾有事が発生するとみており、今後の行方が懸念される。

台湾有事の日本への影響

では、台湾有事となれば、日本にいる我々の日常生活に、どのような影響が出てくるのだろうか。

まず、大前提として、台湾有事は日本有事になる可能性がある。あまり報道されないが、日本の最西端に位置する与那国島からは、天気がよければ台湾が見え、その距離は100キロほどしか離れていない。台湾には約2万人の日本人が生活しており、有事になれば台湾にいる日本人は、海上自衛隊の船舶などで与那国島、石垣島を目指すことになる。

また、台湾有事となった場合、米軍が台湾の助けに回る可能性があるが、その米軍の出発拠点は沖縄本島であり、中国軍が米軍を関与させない目的で沖縄本島の米軍基地を攻撃する恐れがある。そして、それは日本の領土が攻撃を受けることと同じである。

台湾有事は対岸の火事ではない

さらに、日本本土への影響も大きい。たとえば、日本国内で走っている自動車の多くはエンジン車であるが、当然ながら、それには莫大な石油が必要となる。しかし、日本は石油のほぼ100%を外国からの輸入に依存しており、その石油タンカーは台湾南部、台湾東部の海域を航行して日本に到着する。

中国軍は台湾侵攻の前に、台湾周辺の海域を封鎖する可能性が非常に高く、それによって日本へ向かう石油タンカーは迂回を余儀なくされるか、そもそも中東から出発できなくなり、それによってガソリン価格が跳ね上がるリスクがある。台湾有事は日本にとって決して対岸の火事ではないのである。

フランスのパリやカンヌなどに留学し、フランスやその他の国々を旅し、ライティング活動を行っている。

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