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「またお食事でも、ぜひ!」社交辞令のつもりで送ったLINEがきっかけで南国へ異動したワケ

コラム

取引相手とは良好な人間関係を築いて、円滑に取引を進めたいもの。しかし、それがあだとなって公私混同を招いてしまう危険もあります。今回は、社交辞令のつもりで送ったLINEがきっかけで南国へ異動する羽目になってしまった、かわいそうな男性のエピソードを紹介します。

沖縄の海

※画像はイメージです(以下同)

誠実な仕事ぶりとあふれ出る漢らしさ

 学生アメフト部出身で、野生の漢らしさを醸し出している慶太さん(仮名・24歳)。彼は現在IT企業の営業職として働いています。彼が主に受け持っている案件は、自社が運営するトラベル関連サイトの広告主に営業を掛ける業務です。

 誠実な仕事ぶりと、あふれれ出る漢らしさで、社内外でも隠れファンは多いそう。営業という仕事にもプラスにも働くことが多いのか、成績も優秀で、部内でも認められる存在です。

 そんな慶太さんは先日、上司から大口の顧客の担当を引き継ぎました。さっそく先方にアポを取り、挨拶を兼ねた商談へ行くことになりました。

堅苦しい感じの取引相手の女性

 通された会議室で資料を準備しながら待っていると、およそ40歳手前ほどの髪の長い女性が一人で入ってきました。

「統括部長の田所恵です、よろしくお願いします」

 と、手短に挨拶と名刺交換を済ませます。少し堅苦しい感じの雰囲気の女性だと、慶太さんは感じたそうです。自己紹介もそこそこにさっそく仕事の話を始めます。

 引き継いだ案件だからさほど難しい話にはならないだろうと考えていた慶太さんの予想に反し、交渉は思いのほかシビアなものになりました。

こちらにとって不利な条件がいくつか提示されました。田所統括部長は涼しい顔で厳しい条件を提示してくるのです。やり手のキャリアウーマンって感じです」

終わりがけに尋ねられたLINE ID

 営業として何年間か働いてきた慶太さんはうまくかわしつつ、笑顔を絶やさず、商談を円滑に進めました。いくつか上司の承認が必要になる懸案事項は残ってしまったものの、概ね相手側の要求を飲む形で話は決着。それでも、大きな規模の受注を受けることになり、売り上げも大きいものになったそう。

 そろそろ商談も終わり席を立とうとしたところ、田所統括部長が真顔で、慶太さんのLINEを尋ねてきました。

「それがもう、さりげなく、さも当然のように聞くものですから、ついLINEのIDを交換してしまったのです」

 帰りの電車の中で、社交辞令のつもりでお礼のLINEを送って、帰社しました。それが会社を巻き込んだ大騒動に発展するとは慶太さんはこのとき思いもしませんでした。

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