京都人の「お茶漬け=帰れ」は本当なのか?創業110年超の老舗お茶漬け店に聞く
「お茶漬け」ではなく「ぶぶ漬け」なのは…
京野菜を使った漬物との相性などもあって、京都には意外にもお茶漬けの文化が広く深く浸透しているようだ。しかしなぜ、京都ではお茶漬けのことを「ぶぶ漬け」と呼ぶのだろうか。
「花街では、お客様からなかなかお声のかからない芸妓は、お茶の葉っぱをすり潰す仕事をさせられる習慣がありました。そこから商売が暇になる意味の『お茶を引く』という言葉も生まれています。そのため、『お茶』という表現を避けて『ぶぶ』と呼ばれているのです。ただ当店では、ば行の響きの悪さを避けるため『お茶』としております」
語源としては、お茶を入れる際に熱い湯を「フーフー」と冷ます擬音語から派生して「ぶぶ」となったという説がある。
ほうじ茶であることが重要
京都といえば、宇治という有数のお茶どころを抱えているが、このことも独特なお茶漬け文化に影響を与えているのだろうか。
「宇治のお茶とお茶漬けの関係については、はっきりとしたことはわかりません。しかし、当店でも、寺町二条の『一保堂』さんの、宇治のほうじ茶を使っております。玉露や煎茶ですと、お茶の強さにご飯や漬物が負けてしまうので、ほうじ茶であることが重要です」
よく知られている言い伝えの真実を紐解くと、その背景には京都に息づく歴史と文化が見えて来た。普段は「お茶漬けで良いか」とサクッと食べてしまいがちだが、今度京都に出向いた際には、歴史と伝統が紡いだお茶漬けをじっくりと楽しんでみてはいかがだろう。
<取材・文/Mr.tsubaking 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>