第三次ドーナツブームで復調?クリスピー・クリーム社長が語る「魔法の杖はない」
業績を回復させる魔法の杖はない
売上を回復させ、起死回生を図るために取り組んだことについて、若月氏は「接客やサービスの見直し、お客様に喜ばれる新商品の開発、テイクアウト専用の店舗出店などを行った」と語る。
「これをやれば業績が回復するというような、魔法の杖はないんですよ。当たり前のことをしっかりと積み重ね、ブランドに対する好感度を上げるために、できることを粛々とやっていく。これが非常に重要だと思っています。商品については、定番のオリジナル・グレーズドに加え、新たな定番商品となるものが求められており、2016年に日本発の『ブリュレ グレーズド』を発売しました。
期間限定ではなく、定番化を狙った商品として出したところ、今ではレギュラー商品の一角を担う人気商品にまで成長しています。また、2017年以降、ハロウィンやクリスマス、干支などをモチーフにした、見た目が可愛らしい商品に力を入れるようになったのと同時期に“インスタ映え”が流行り、SNSでアップしてくださるお客様も増えました」
早くからデジタルツールを活用
さらにKKDJは、いち早くDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、組織体制の構築を行ってきたという。
「2016年から、接客のトレーニングや店舗運営のノウハウ共有などを、デジタルツールを活用することで人材育成の強化を図りました。また、KKDJは2016年にUberEatsが日本へ上陸した際の初期パートナーとして関わっており、コロナ禍になる前からデリバリーにも取り組んでいました。
KKDJの公式アプリ『Krispy Kreme for APP』では、2017年から店頭で並ばずにドーナツの受け取りができる『クイック オーダー』サービスを提供しています。このように企業改革のフェーズでDXに積極的に取り組んできたことが、結果としてコロナ禍に突入しても最小限のダメージに抑えることができ、2020年秋ごろからは既存店の売上高も2019年対比でプラスに転じることができたんです」