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<漫画>パート先の店長と不倫…“地方のドロドロ人間関係”を漫画で描く理由

暮らし

 最近では地方移住がブームですが、その一方で地方は都会に比べて住民同士の距離が近く、窮屈な思いをしがちなんて話も耳にします。そんな地方特有の人間関係をリアルに描いているのが、コミックバンチとまんが王国がタイアップしたレーベル「ututu(ウツツ)」で連載中の泥濘の食卓」です。

泥濘の食卓

『泥濘の食卓 1巻』(バンチコミックス)

 この作品は、地方のスーパーで働く25才の女性が主人公。店長から不倫関係の解消を迫られたのを機に、彼の自宅を突き止めてストーキングを開始するのですが……。不倫、虐待、ストーキングなど全編にわたり、ドロドロとした人間関係と心理描写が魅力の作品です。

 これらのアイデアはどこから湧いてきたのか。「泥濘の食卓」作者の伊奈子さん@naguruzo_)にお話を聞きました。

【マンガ】⇒「泥濘の食卓」の第1話を読む

良くも悪くも人間同士の結びつきが強い

――まずは「泥濘の食卓」という印象的なタイトルの由来から教えてください。

伊奈子:実は企画の段階では、「一家団欒」っていう別のタイトルだったんです。でも前の担当編集さんと、もっと印象的で新しいタイトルに変えようって話になったんです。もともと「家庭」にまつわる話を描きたいと思っていたので、「家」に関係する言葉で、しかも食事シーンに力を入れていたので、食にかかわるもの、それで私が出した「泥濘の食卓」に決まったんです。

――作中でも「家」や「家族」のエピソードが豊富ですが、「家」について描こうと思ったきっかけは何でしょうか?

伊奈子:私自身、愛知県の田舎の出身なんですよ。で、昔から都会よりも田舎のほうが、良くも悪くも人間同士の結びつきが強いと感じてました。何十年もご近所とかの人と家族同士で付き合ったりしますよね。そのせいで人間関係が濃いというか。居心地がいい人には、すごくいいところだと思うんですけど、でも、私はそういう場所から出たいと思ってましたね。

「既婚女性板」の投稿も参考になる

泥濘の食卓

作者の伊奈子さん

――田舎から出たかったんですね! たしかに地方に住んでると人間関係が窮屈になることが多い気がします。

伊奈子:噂とかもすぐ広まるし、全然会ったこともない人でも、「あそこの家の子がすごい今引きこもりなんだって」とかで盛り上がるんですよね。私自身そういう噂が広まるのは、すごい嫌だったので、ずっとここから逃げたいって思いながら過ごしてました。

――では登場人物たちの設定も伊奈子さんのご経験を参考にしてるのでしょうか?

伊奈子:実体験と想像のどっちもですね。昔からいろんなとこでバイトしてたので、そこでモデルになった人もいるし、あとは、私はTwitterを見てて「不倫されたアカウント」みたいなのあるじゃないですか、そういうのを参考にしたりとか。あとは5ちゃんねるの既婚女性板の投稿とかも参考になりますね。

泥濘の食卓 1巻

泥濘の食卓 1巻

田舎町のスーパーで働く「深愛(みあ)」は、パート先の店長と不倫関係にあった。何のとりえもない自分に優しくしてくれる店長が大好きな深愛。しかし突然、別れを告げられる。理由は妻の鬱。家族の為に使う時間が必要で関係を続けられないという店長の言葉は耳に入らず、深愛が導き出した答えは、「私はやっぱり、店長と幸せになりたい」。その想いが一つの家庭を泥濘へと引きずり込む――。

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