退職届を受け取らない会社に…「業を煮やした」新人社員の最終手段
受け取り拒否を続ければ諦めると思っていた?
一族経営の中小企業ではよくある話ですが、それだけに入社してすぐ辞める人も多かったとのこと。福田さんはこのとき2年半以上勤めており、若手ながら仕事もひと通り自分ひとりでこなしていました。だから、会社側も辞められると困ったのかもしれません。
「次の週や半月後にも改めて辞めたいと告げましたが、向こうからは相変わらずのゼロ回答。その対応を見て、私に退職を諦めさせようとしているのを感じました」
上司だった課長も経営者一族でスタッフの意見をあまり聞かず、自分の考えばかりを押し通すタイプ。このままでは埒が明かないと思い、労働者には退職の自由が法律で認められていることを話し、今後も退職を拒否する気なら相応の手段を講じる準備があることを伝えます。
「さすが会社と正面からケンカする度胸はないので、そういう意味合いの内容を言い回しに気をつけて話しました。一応、相手はまだ自分の上司でしたからね。課長はさすがにちょっと分が悪いと思ったのか、ここで昇給と来年度からの昇進を提示。これを条件に『残ってくれないか?』と説得してきたんです」
認めてくれたが、送別会で嫌味を言われた
そこで地方公務員の採用試験に合格していることを明かし、退職の意思が変わらないことを明言。これは上司にとっても想定外だったようで大変驚いていたそうで、渋々しながら最後は退職を認めてくれたといいます。
「転職先が公務員じゃなかったとしても、あの会社じゃ約束を反故にされそうじゃないですか。結局、予定通り1月末で辞めることができましたが、最後の送別会では酔った課長からは『最初から腰掛けのつもりだったんだろ?』と毒を吐かれました。まあ、そうなったのは否定のしようがない事実だし、スルーしておきましたけどね(笑)」
今回のような露骨な退職拒否は昔ほどはないと言われていますが、情に訴える形で辞めるのを思いとどまらせるケースはよく聞きます。それで辞めるタイミングを逃す場合も多いため、退職を検討している方はくれぐれもご注意を。
<TEXT/トシタカマサ イラスト/カツオ(@TAMATAMA_GOLDEN)>
-[特集・会社を辞めて大変だったこと]-