退職届を受け取らない会社に…「業を煮やした」新人社員の最終手段
一般的に若い世代ほど多い傾向にある転職。厚生労働省「令和2年雇用動向調査結果の概況」によると、20~24歳男性の転職入職率は12.7%で、25~29歳が12.2%とのことです。
理想は円満退社かもしれませんが、残念ながら実際には退職を巡るトラブルも少なくありません。現在、地方公務員として故郷の町役場に勤める福田英則さん(仮名・30歳)の前職はサラリーマン。地元には戻らず、通っていた大学がある地方都市の中小企業で働いていたといいます。
会社勤めを続けながら採用試験に挑戦
「もともと公務員志望でしたが、採用試験に落ちてしまい、妥協して入ったのが前の会社でした。でも、やっぱり諦めきれなくて、働きながら挑戦しようと思ったんです」
それでも就職1年目は仕事で覚えることが多く、2年目も忙しくて試験勉強する時間がなかなか確保できなかったので試験を受けずにスルー。3年目に照準を絞って準備を進めます。
「理由はこれだけではありません。就職1~2年目は不利という話も聞いていたからです。もちろん、それが本当なのかはわかりません。ただ、こっちは不採用だった場合を想定して仕事で手を抜くわけにもいかず、試験勉強の時間を確保するのも一苦労。けど、採用されたのでその判断がいい方向に転んだわけです」
辞めるまでが一苦労…
ところが、問題はここから。町役場の入所時期は新卒採用者と同じ翌年4月からだったのですが、1月末までには辞めることを考えていた福田さん。そのため、余裕を持って10月上旬に当時の直属の上司に辞職の意思を伝えます。すると、用意していた退職願の受け取りを断られてしまったそうです。
「このときは具体的な退職理由は明かさず、一身上の都合だと話しました。でも、上司は『今は人手が足りないからもう少し待ってほしい』って。それならいつなら大丈夫なのか尋ねましたが、ハッキリと答えてはくれませんでした」
従業員25名ほど小さな会社で、慢性的な人手不足だったのは事実。社員1人あたりの仕事量も多く、定時までに仕事が終わるのは週1日あるかないか。それなのに社員の3割を占める経営者一族はほぼ毎日定時で帰ってしまい、彼らは若手であっても給料が多かったとか。