朝の挨拶で「笑顔が足りない」。上司の“スマイル強要”はハラスメントか
仕事のモチベーションは人それぞれ
先日、筆者が代表理事を務める日本ハラスメント協会にエンハラ被害の相談がありましたので事例を紹介します。
ベンチャー企業に勤務するAさんは朝、会社で上司に「おはようございます」と挨拶をしたら「笑顔が足りない」と言われ、さらに業務中も「楽しさが伝わってこない」とも言われてしまい、職場で楽しくしている姿を強要されて困っているとのことでした。一緒に働く周囲のメンバーは元気な人が多いが、自分だけ監視されている気分で働きにくいようです。
日本ハラスメント協会が人事担当者に確認をしたところ「会社の士気が下がるため注意をしている」と回答がありました。社風としては問題ないですが、過度の注意はエンハラにあたるので控えるように助言をしています。エンハラ発言だけではなく、職場ではエンハラにあたるシーンが存在します。どのようなシーンがエンハラにあたるのか? 事例を見ていきます。
「楽しく仕事をすること」という目的に便乗して、「プレゼンや会議の場で笑顔を強要する」「仕事とプライベートの垣根のない付き合いを強要する」「休日にバーベキューなどの参加を強要する」「会社のホームページや求人サイトに掲載する写真にうつることを強要する」などが挙げられます。
職場でエンハラと呼ばれないために
一見、その会社に在籍している以上はあたりまえのようにも見えますが、通常業務の範囲を超えているため、強要したらエンハラにあたります。あくまで本人同意の元での協力が前提となり、その上で成り立っているのであれば問題はありません。しかし、本当は嫌でも実際に断ることは勇気がいることでしょう。
ここまでエンハラの事例を見てきましたが、予防策も大切です。皆さんが職場でエンハラと呼ばれないためのアドバイスをお伝えしますので参考にしてください。
「仕事とはこうあるべき」というあなたの中のルールを必要以上に相手に要求しないことがまずは大切です。パワハラでも同じことが言えますが、相手のためと思っても余計なプレッシャーになることがあります。例えば「目上の人への挨拶は笑顔で愛想よくするもの」という考え方は、笑顔で挨拶された側としては気持ちがよく嬉しいものです。確かに理想はあるでしょう。