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朝の挨拶で「笑顔が足りない」。上司の“スマイル強要”はハラスメントか

学び

 大手ファストフード、マクドナルドのメニューに「スマイル0円」があるのは有名です。マクドナルドはサービスのひとつとして展開しているため、マクドナルドの従業員がお客様からスマイルを求められることは普通のことです

カフェ 接客

※画像はイメージです(以下同じ)

 では、一般的な職場で上司が部下に「スマイル」を強要したらどうなるのでしょうか。ハラスメントの種類のひとつに「エンハラ(エンジョイ・ハラスメント)」があります。 「エンハラ」とは楽しく仕事をすることを強要するハラスメントのことを言います。2017年にお笑いコンビ「オードリー」の若林正恭さんが、テレビ番組で「エンハラ」を提唱したことから、その言葉は広まりました。

 そこで本記事ではハラスメント専門家である一般社団法人日本ハラスメント協会代表理事の村嵜要が職場で起きているエンハラの実態と、皆さんがエンハラを起こさないための予防策をお伝えします。

「今日の仕事は楽しみですか」炎上した広告

 昨年10月4日、東京のJR品川駅コンコースのディスプレイに「今日の仕事は楽しみですか」と、まるで通行人が問われているような強烈なキャッチコピーの広告が映し出されたことが話題になりました。このコンコースには何枚ものディスプレイが連続で並んでいるため通行人は下を向いて歩かない限り、ディスプレイのキャッチコピーが自然と視界に入る可能性が高くなります。

 SNSで批判が集まり炎上したことを受け、翌日に広告主は謝罪して広告掲載も終了しました。「今日の仕事が楽しみではない」人には不快なメッセージとして受け止められました。炎上したということは批判の声に共感した人が多かったと言えるでしょう。

エンハラはベンチャー企業で起きやすい?

明るい職場

 20~30代が中心の平均年齢が若いベンチャー企業は職場の楽しい雰囲気を大切にしながら仕事をしている人が多いイメージがあります。そこで働く人は「楽しく仕事をする」という社風をある程度は理解して入社するので、エンハラっぽいことを求められても、そこまで問題にはなりません。

 ただし、そのような社風であっても過度に楽しそうな雰囲気を強要することはエンハラになります。ベンチャー企業に限らず中堅企業、大手企業でも上司のタイプによってはエンハラが起きてしまいます。このあたりは就業規則、服務規律に定めている会社は少ないため、その時々の人間関係に左右されてしまうのが実情です。

 誰もが仕事で落ち込む時もあれば、嬉しいことがあって自然と笑顔になるときもあります。人の気持ちは朝、昼、夜や昨日、今日、明日でも変化します。プライベートの事情も多かれ少なかれ入ってもきます。誰から見ても、楽しそうに仕事をしている姿を周囲に見せることはほぼ不可能に近いです

 仮にエンハラ被害に遭うことを回避するために、無理をして楽しく振る舞っている人がいるなら結局、ストレスが増大しますので、やらないほうがいいです。多少は無理をして合わせることができても長期的に偽りの姿の自分を維持することは精神的にも良くないことだからです。

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